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高温を制す者、SiCを制す

新日鉄「炭化ケイ素(SiC)単結晶ウエハー」(その3)

2009年7月22日(水)

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 炭化ケイ素(SiC)を発光ダイオード(LED)や高周波特性の利用などではなく、パワーデバイス(電力用半導体素子)用として開発する方向に大きく舵を切った新日本製鉄(新日鉄)。以降の研究の進捗状況が分かる話としては、先端技術研究所の主幹研究員である星野泰三の思い出がある。

星野泰三・主幹研究員

 星野は、1997年から新日鉄の子会社でシリコンの単結晶の研究に従事し、2005年にSiCの研究チームに戻った。この8年間でSiCの研究は格段に進んでいたという。

 「隔世の感がありましたよ。私が出る前は『みんなで頑張って1インチ(25ミリメートル)を作ろう!』だったのに、戻ってみると目標が2インチ(50ミリメートル)になっていた。小さいけれど、まさに半導体になっていたんです」

既存設備の手直しで対応できる

 この当時の研究時代について、主幹研究員の藤本辰雄はこう振り返る。

 「2001年から2007年に何があったか。単結晶成長で高温成長ですから時間がかかります。1つの問題点の解決に、数カ月単位で時間がかかる。そういう時間を企業としてどう確保していくかが、どこの会社でも共通の悩みだったと思います。我々は理解を得られ、ここまで続けてこられた。その間にちょこちょこ出てきた事実が統合的に花開いて、4インチ(100ミリメートル)になって結実したというのが事実だと思います」

 ちなみに、青色発光ダイオードの開発の際に敗北を喫してしまった窒化ガリウム(GaN)は、今回のパワーデバイスでは天敵にならなかったのだろうか。

 星野が言う。

 「GaNもバンドギャップが広い。SiCよりも少し大きいくらいで、その点ではパワーアプリケーションに適しています。ただ、残念ながら熱伝導率が悪い」

 新材料研究部長の大橋渡が補足する。

 「先ほどのパワーデバイス性能指数では、SiCの1530に対して、GaNは590なんです」

 SiCの優位は「素材の特性だけではない」と星野は言う。

 「デバイスメーカーにとっては、もともとシリコンで使っていた設備を部分的に手直しして移行した方が投資額も全然違います。できるだけシリコンのプロセスとコンパティビリティー(交換可能性)のある方がやりやすいわけです」

 これらの話からすると、パワーデバイスに関してはSiCの方が製品化では進んでおり、GaNに対して、発光ダイオード戦争での敗北のリベンジに成功したと考えられる。

 こうして、2007年、新日鉄の研究チームは高品質の4インチSiC単結晶ウエハーの製造に成功した。これまではデバイス試作用ウエハーをサンプル品として供給してきたが、4月からデバイス量産に使える品質保証品を供給する。新日鉄マテリアルズは、「2015年頃には年間売り上げで100億円規模の事業に育てる意向」と発表した。

宇宙船地球号の担い手として

 ここまで、新日鉄がSiCの開発に取り組んできた経緯について見てきた。

 しかし、ほかにも何か“製鉄業”ならではのアドバンテージはなかったのだろうか。

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