「新・ハイブリッド戦争」

離陸するか「電池丸ごと交換ビジネス」

シリコンバレーから電気自動車に挑戦

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2009年7月2日(木)

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 内燃機関に加えて電気モーターを駆動させることで大幅に燃費を改善させ、環境に優しいクルマの代表となったハイブリッド車。ホンダとトヨタ自動車が相次いで新型モデルを投入したことから市場は急拡大している。一方で、三菱自動車などが電気自動車の量産を決定するなど、自動車業界ではクルマの「電動化」が加速している。この流れに乗って、これまでなかった様々なニュービジネスが登場している。その1つが2007年、米シリコンバレーで創業したベンチャー企業、ベタープレイスが手がける電気自動車向け充電サービスだ。


 電気モーターだけで走る電気自動車は、走行中にCO2(二酸化炭素)を一切排出しないという利点がある。

 ただ、現在の電池の性能に限界があることから、1回の充電で走れる距離が満タンにしたガソリン車に比べて短い。例えば、三菱自動車が発表した「i-MiEV(アイ・ミーブ)」はカタログ上、1回の充電で走れる距離は160キロメートルと限られる。

 そこで、電気自動車向けに急速充電サービスはもちろん、電池そのものを充電済みのものと交換するサービスを始める企業が登場した。米シリコンバレーで創業したベンチャー企業、ベタープレイスである。

わずか1分間で“満タン”に

 この5月に来日したベタープレイスの創業者でCEO(最高経営責任者)のシャイ・アガシ氏は、横浜で同社が独自開発したという電池交換技術を世界で初めて披露した。

横浜での技術発表会には多数のメディアが関心を寄せた (写真:陶山 勉、以下同)
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 電気自動車が電池交換ステーションに入ると、クルマの下に設置されている機械が動きだし、自動的にクルマから電池を取り出す。そして、代わりに同じタイプの充電済みの電池を静かにはめ込む。

車体の下から自動的に電気自動車の電池を交換する
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 駐車してから、電池の交換を終えて出発するまでの所要時間はわずか1分。ガソリンを入れるより短くて済むことを繰り返し強調した。

 現在、アガシCEOが事業化を進めているのは自らの出身地でもあるイスラエル。同社はダウンタウンや勤務先、ショッピングセンターなどクルマを駐車する場所には急速充電スポットを設ける一方、ガソリンスタンドなどには今回披露した電池交換機を設置し、2011年にはサービスを開始する予定だという。

 イスラエルに設置する電池交換ステーションは100カ所を目標としており、顧客からは契約形態に応じて料金を請求する。

走行距離に応じて課金する

 契約は、タクシーなど走行距離が長い利用者には定額料金を適用し、あまり運転しないクルマは走行距離に応じて支払ってもらう。電池を売るわけでも電池の交換サービスを売るわけでもなく、あくまでも走行距離、つまり「キロ数」に応じた金額を払ってもらうという考え方だ。

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著者プロフィール

石黒 千賀子(いしぐろ・ちかこ)

日経ビジネス副編集長。



このコラムについて

新・ハイブリッド戦争

厳しい販売状況が続く自動車業界で、唯一人気を集めているのがハイブリッド車だ。低価格化に加えて政府の免税措置などもあり、トヨタ自動車の新型「プリウス」、ホンダの新型「インサイト」はともに納車待ちの状況が続く。2強が競い合い、新たに始まった「ハイブリッド戦争」はどこへ行き着くのか。自動車メーカーの狙い、最先端電池の開発戦略、激化する販売戦争の裏側、また次々と乗り込んでくる異業種などの動きを追った。

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