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「タタドコモ」は失敗を糧にできるのか

脱ガラパゴスへ、一筋の光明

  • クロサカ タツヤ

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2009年7月23日(木)

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 日本のケータイ業界関係者で最近注目を集めている統計が1つある。電気通信事業者協会(以下、TCA)が発表する、キャリアごとに集計した毎月のケータイ・PHS契約数だ。

 先に発表された2009年6月末分まで、このTCA集計値で、ソフトバンクモバイル(以下、SBM)は26カ月連続純増ナンバーワンを記録してきた。しかしここにきて、NTTドコモがその差500まで迫ってきており、7月分の集計でSBMがナンバーワンの座から転落するのではないか、と話題となっているのだ。

 もっとも、この数字自体にはカラクリがある。NTTドコモの純増分には、春先からウィルコムが提供を開始し、加入者数を伸ばしているWILLCOM CORE 3G(ドコモ3G回線のMVNO=仮想移動体通信事業者=による高速データ通信サービス提供)の純増分が含まれているのだ。つまりこの数字は、NTTドコモ自身による純増(およびウィルコムの純減)を単純に示したものではないことになる。

 それでも、現在の勢いが維持されれば、NTTドコモがSBMを抜き去る瞬間が、それこそ今月にも訪れるかもしれない。もしそうなるとすれば、純増という指標で通信キャリアの力量を測ってきたケータイ業界にとって、この7月は数年ぶりの転換期になる。

顧客獲得とインフラ、2つの競争

 一方、ケータイ市場全体を見渡すと、ほぼ飽和していることも、はっきり分かる。TCAの集計でも、この1年間(2008年7月~2009年6月)で400万台、その前の1年間でも500万台しか純粋な契約数が伸びていない。結果として、日本の人口約1億2800万人に対し、ケータイ・PHSはすでに1億1300万台強の契約数を獲得するに至り、完全に頭打ちの状態である。

 おそらく「純増」の余地が残されているのは、データ通信、スマートフォン(多機能携帯電話)、法人、及びm2m(マシン-マシン:オートメーションやセンサーなどでの利用)といった領域だろう。各キャリアともこうした分野へのシフトを進めるとともに、現有顧客の維持に必死の努力を続けている。

 こうした成熟市場における企業経営は、当然ながら成長市場のそれとは全く異なる。単にケータイを普及させるというバラマキ的拡販戦略ではなく、他社の類似サービスを迅速にキャッチアップし、さらにより有利な条件を提示していくという競争戦略が必要となる。そしてそれは、ケータイ産業が消耗戦に突入していることを意味する。

 例えば、先日もKDDIが、同社の加入者を対象に3件まで月額定額料を支払うことで24時間通話無料とした「指定通話定額」を発表した。先行するウィルコムへの顧客流出を防ぎ、また24時間通話無料を実現できていないSBMから、あわよくば顧客を奪うための施策と考えられる。

 3分10円でチャリンチャリンとお金が落ちていく「おいしいビジネスモデル」で温々と生きてきた通信キャリアにとって、通話無料という料金体系は本来ならば天地がひっくり返るような大転換である。企業の「損益計算書」の内容を場合によって毀損させるかもしれない意志決定であり、厳しい消耗戦を引き受ける「覚悟」がなければできることではない。

 それに、ウィルコムやKDDIがそうした大胆な決断を実現できているのは、またインフラの品質が高いこと、インフラ自体が「枯れていた」ために運用効率が高かったこと、などの理由による。ボーダフォン時代の設備投資が抑制された低品質インフラをそのまま引き継いだSBMでは、やろうと思ってもなかなかできないことである。

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