「川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」」

スポーツ映像2.0の始まり

サッカー界の未来形チーム「MYFC」はもの言うファンが経営判断を下す(2)

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2009年9月7日(月)

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 前回の「ウェブ2.0の次は『スポーツ2.0』」では、藤枝MYFCの紹介を致しました。オンラインで投票権をもつオーナー・ファンたちが、みんなでサッカークラブの運営を行うという新しいモデルです。

 うまくいかない心配事を数え上げると山積み状態です。短期的な利益回収を優先する個人投資家のように、悪い意味での“もの言う株主”チックに振舞われても困ります。あるいは、集合知ならぬ衆愚化、すなわち責任の所在が不明確な意思決定を繰り返す烏合の衆と化す危険性もあります。

 しかし、IT技術の発達によってファンとプレーヤーの距離を縮める方向性が選択肢としてできたわけですから、時節が到来しているかどうか、可能性を試してみる価値は十分にありそうです。

 チーム運営には多種多様なビジネスプロセスがありますが、投票制度の対象にすべき部分はどこなのか? この点について前回お話いたしました。選手の運用1つを取ってみても、各地に埋もれている逸材の発掘工程から、次の試合でのフォーメーション議論、さらには試合中の選手交代というようなリアルタイムの投票行動も技術的には可能です。

 そんな一連の対象プロセスの中で前回触れなかった面白い切り口があります。それはゲームの放映画像の扱いに関するものです。

「映像2.0」プロセスから、ファンがサッカーの見方を変えていく

MYFCを立ち上げたJ.プレイヤーズの代表取締役社長、小山淳氏(写真:小久保 松直)

 MYFCを立ち上げたJ.プレイヤーズの小山淳社長に面白い話を伺いました。藤枝MYFCは5部リーグのアマチュアチームですから、当然ながらテレビ局による試合中継などありません。このMYFCのシステムで登録された5600人のファンたちは、実は首都圏など都会の方々が多いという特徴があるのだそうです。

 小山氏自身、静岡と東京を行き来する生活の中で、生活パターンの違いを実感すると言います。東京に居る時はPCや携帯に常時繋がっている状態が多く、プチ暇を見つけては「あちら側」に繋がろうとする暮らしぶりであるのに対して、藤枝に行くと自動車中心の生活で圧倒的にリアルがメインになるというのです。

 そんなわけで、オンライン特性上、現場の試合を見に来られない多くのファンを惹きつけ続けるためには、都会を中心とした遠方のファンたち向けに、試合の動画配信が非常に重要ということになります……などと理屈をこねているうちに、地元ファンの1人がビデオカメラと三脚を使ってインターネット上にストリーミングで試合の生中継を始めてしまいました。

 最初はひたすら固定カメラからの動画たれ流し状態でしたが、そのうち別のファンが音声の案内を入れるようになりました。手作りの実況中継が始まったのです。これが結構面白いということで、全国のファンの間で話題になっているというのです。

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著者プロフィール

川口盛之助
(かわぐち・もりのすけ)

川口盛之助

慶応義塾大学工学部卒、米イリノイ大学理学部修士課程修了。日立製作所で材料や部品、生産技術などの開発に携わった後、KRIを経て、アーサー・D・リトル(ADL Japan)に参画。現在は、同社プリンシパル。世界の製造業の研究開発戦略、商品開発戦略、研究組織風土改革などを手がける。著書に『オタクで女の子な国のモノづくり』(講談社)がある (写真:山西 英二)



このコラムについて

川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」

このコラムでは、商品の機能やデザインにフォーカスし、その商品が生まれた発想の起源を探ります。特に日本の商品に密かに隠れたいかにもニッポン的な「和」のテイストに注目しながら、日本のものづくり文化に息づく競争力の源泉をひもといていきます。

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