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何のためのMVNO導入なのか

失われた「自由度の高い事業展開の基盤」

  • クロサカ タツヤ

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2009年9月10日(木)

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 電気通信事業者協会(以下、TCA)が発表する、キャリアごとに集計した毎月のケータイ・PHS契約数で、ソフトバンクモバイル(以下、SBM)が再び純増1位に返り咲いた。2009年7月分は僅差でNTTドコモに首位を明け渡したものの、翌月に再びその地位を取り返したことになる。

 SBMは8月半ばに料金プラン改定による実質値上げを実施しており、業界関係者からは「このままズルズルと純増の勢いが低下するのではないか」と懸念する声も上がっていた。しかし結果として純増数を再び増やしたことで、彼らが引き続き成長拡大路線を目指すことが確認された格好だ。

 一方、以前もお伝えしたように、NTTドコモの数字にはウィルコムがMVNO(仮想移動体通信事業者)を受けて提供する「WILLCOM CORE 3G」の契約数も含まれている。ウィルコムの発表によれば同サービスはおよそ1万契約で、NTTドコモ全体の純増数(11万2900契約)の1割弱だが、SBMと1000契約単位での競争を繰り広げている彼らとしては、その上積みは小さくない。

ウィルコムはセーフ、SBMは“滑り込み”で・・・

 今春スタートしたこの「WILLCOM CORE 3G」は、ウィルコムというMNO(移動体通信事業者)が、MVNOとしてNTTドコモの回線を調達して提供するサービスである。ドコモの品質とウィルコムの自由度(ドコモ自身のサービスに比べ、ポート規制がないなど使い勝手がいい)の「いいとこ取り」ができるとあって一定の人気を博しているようだ。

 しかし同サービスは、通信業界ではちょっと違った観点から話題になった。ちょうどその直後に、SBMによるイー・モバイルの回線の調達によるデータ通信サービスの発表があり、「MNOによるMVNO」という意味で似た構図だったのである。一方で、MVNO協議会は、SBMとイー・モバイルのMVNOに対してのみ反対表明をするなど、両者はどう違うのか、どちらが許容されるのか、といった議論が起きたのだ。

 結論として、総務省の情報通信審議会(電気通信事業政策部会・接続政策委員会)は今年7月、両者をいずれも認めたものの、ウィルコムとSBMは異なるケースだと判断し、今後は原則としてMNOによるMVNOを禁止する方向で検討を進めるようだ。

 同審議会の議論をなぞると、ウィルコムは「PHSというケータイとは異なるサービスを提供する事業者であり、またXGP(ウィルコムの次世代データ通信サービス)へのつなぎとして位置づけている」のであって、MNOによるMVNOという概念には必ずしも当てはまらず、また事業者同士の合意さえあれば消費者の利益や競争環境の改善につながるので規制対象とすべきではない、としている。

 一方、SBMとイー・モバイルの場合は、両者が同じ3G(第3世代)ケータイ事業者であり、いずれも自らインフラ整備義務を負っているべきところ、それを経済合理性の観点のみで放棄することになりかねず、MNOの存在理由やその意義を揺るがしかねない、と考えたようである。比較ケースとして、イー・モバイルのNTTドコモへのローミング依頼が挙げられるが、これもあくまでイー・モバイルのインフラ整備に必要な猶予期間だけに許されたものである。

 いずれにせよ情報通信審議会は、今回のケース自体はどちらも認めつつ、今回の検討を踏まえ、今後の判定基準として「事業者間の合意、競争促進、利用者の利便性向上」を満たすことを条件とすることをまとめた。具体的には、異なる市場のサービス提供(例:ケータイ事業者によるモバイルWiMAXサービスなど)、新規参入したMNOの全国展開までの暫定期間、トラフィック逼迫を受けてインフラの抜本的な増強を図る際の暫定期間などを挙げている。

「上下分離」というパンドラの箱が開く

 このように議論は一応収束を見たのだが、筆者はむしろこの決着自体よりも注目していることがある。それはこれらのケースが、今後ケータイを含めた通信産業全体を考えるうえで、より大きな政策的課題を暗示しているからだ。

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