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ひとに承認欲求があるかぎり

「マッドメン」が説く広告の原理原則

  • 須田 伸

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2009年10月6日(火)

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 日頃の不摂生がたたって体調を崩してしまい、7月の後半から2カ月ほどの間、会社も、この連載もお休みを頂戴し、その他の講演や執筆もすべてキャンセルして、療養につとめてきました。

 そんな間に、DVDで一気に見たのが、アメリカのテレビドラマシリーズ「マッドメン シーズン1」です。

 テレビドラマ「マッドメン(Mad Men)」は、その番組名にあるように、かつてニューヨークの広告会社の多くが軒を連ねたマディソンアベニュー(Madison Avenue)の主であった広告マンたち(Ad Men)の、狂乱的(Mad)な生活を描いた作品です。

「マッキャンに移籍すれば、コカ・コーラやパンナムがクライアントだ」

 「エミー賞ドラマ・シリーズ部門作品賞の栄誉に輝いた全米絶賛の最新話題作」というキャッチフレーズもさることながら、このドラマが1960年のアメリカの広告会社を舞台にしているということで、以前からアメリカの広告業界関係者との会話に登場することが多く、「いったいどんなドラマなんだろう?」とずっと興味を持っていたのですが、これまで見る機会はありませんでした。

 実はこのドラマ、本コラムで1年半も前にネタにしています。しかも私はまだ肝心のドラマを見ていないのに(「舞台が広告会社なら自然に“広告”が見てもらえるかも!」)。

 今回DVDをみたところ、各エピソードのエンドロールの後には「『マッドメン』は、いかなる企業や団体からの資金援助も受けておらず、特定の企業や商品を番組内で広告する意図はまったくありません。すべての実在の商品や団体の番組内での登場は、あくまで偶然の一致です」という断り書きが出てきており、その言葉を信じるなら「プロダクトプレースメントがやりやすいテレビ番組」という1年半前の私の予想は、間違っていたようです。しかし、ラッキーストライク、ドクター・ショール、コカ・コーラ、IBM、フォルクスワーゲン、などなど、実在の商品ブランドや企業がそのままの名前でたくさん登場します。

 ついでに言うと、マッキャンエリクソン、レオ・バーネットといった広告会社の名前も、日本のテレビドラマにありがちな「大手広告代理店 電報堂」のような改造なしに出てきます。「ドクター・ショールのアカウントをとられたって?」「そうだ、レオ・バーネットに変えるそうだ」「連中は我々を切って、あんなシカゴの小さな代理店に鞍替えするというのか?」といった具合に。

 1950年代末から始まったとされる広告クリエイティブ黄金期の先駆けとして名高いDDBが手掛けたフォルクスワーゲンの広告シリーズも、当時の実際の広告作品「Lemon」がそのまま登場しています。

 マッドメンたちの「こんな、商品よりも広告表現が主役の広告を俺は認めない」「この部屋の中で、我々はもうこの15分間、この作品のことしか話していない。認めるしかないだろ」といった会話には、思わずニヤリとさせられました。社会人1年生の時に神田錦町にあった当時の博報堂本社の図書館で、広告の名コピーを勉強する一環として、せっせとこの英文を「写経」した経験があるのです。

 主役のクリエイティブ・ディレクターのドン・ドレーパーをマッキャンエリクソンの幹部が引き抜きにかかる時には、「わが社にくれば、コカ・コーラやパンナムがクライアントだ。君の今のクライアントとは予算規模が違う」と口説きます。かつてのアメリカのフラッグキャリアであったパンナムは現在では経営が破たんしてしまいもはや存在しませんが、コカ・コーラは当時も今も、マッキャンエリクソンのクライアントです。

 「マッドメン」は、人間ドラマとしても非常によく出来た作品ですが、アメリカ広告史を学びたい人にもおすすめです。

マッドメンが説く「広告の唯一の原理原則」とは?

 売れっ子クリエイティブ・ディレクターのドン・ドレーパーは、相手が広告主でも持論を曲げることはしません。1案のみをプレゼンして相手が気に入らなければ「これ以上、あなた方と話をしても時間の無駄だ」と広告主をおいて会議室を出てしまうことも珍しくない、タフなクリエイティブ・ディレクターです(DVDセットに付属している特典映像ディスクでは、広告業界の大ベテラン、ジェリー・デラ・フェミナ氏が「今どき、ドン・ドレーパーのような『この案が気に入らないなら、我々は御社の仕事を降ろしていただく』なんて啖呵がきれる広告マンは存在しないよ。『どこを修正すればよろしいですか?』とクライアントにお伺いをたてるのが今のスタイルさ」と自嘲気味に語っています)。

 そんなドン・ドレーパーが、雑誌『リーダーズ・ダイジェスト』の喫煙の健康被害に関する記事がきっかけで「ラッキーストライクは健康にいいタバコという表現はもはや出来ない」ということになって、緊急プランのプレゼンテーションを行うシーンがあります。

 その中で、クライアントに「広告の唯一の原理原則」を説くシーンには、「たしかにそうだ」と思わず膝を叩く名セリフが登場します。

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