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「10分の1」では、ブルーオーシャンにたどり着けない

東レ「炭素繊維複合材料の革新的な高速加工技術」(その1)

2009年10月7日(水)

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 初めて知った感想は、「すごい!」よりも「何で?」だった。

 2008年の第18回「日経BP技術賞」エコロジー部門は、東レの「炭素繊維複合材料(CFRP=炭素繊維強化プラスチック)の革新的な高速加工技術」が受賞した。東レがNEDO技術開発機構(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けて開発した技術で、例えば自動車のドア・インナーパネルをCFRPで成形する場合、従来の技術では160分かかっていたものが、約10分でできるようになったという。

2008年の「日経BP技術賞」エコロジー部門を受賞した際のメンバーである東レの複合材料研究所長の北野彰彦(左)とA&Aセンターアドバンスドコンポジットセンター所長の関戸俊英(写真:佐保 圭、以下同)
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 「2時間40分」が「10分」・・・である。

 正直言って、困惑した。「技術の進歩で成形時間が半分(80分)になった!」でもインパクトは十分だし、「画期的な技術で3分の1(1時間弱)に!」でもかなり驚異的だ。

 それをいきなり「16分の1」と言われると、逆に「なんで半分とか3分の1とかっていう段階をすっ飛ばして、一気にそこまで行っちゃった(行けちゃった)の?」という疑問の方が強かった。

 思い起こせば、初めて「CFRP」という名前を耳にしたのは、もう20~30年前の話になる。

 国際ヨットレース「アメリカスカップ」に出場するヨットの材質に使われているというその新素材は「Carbon Fiber Reinforced Plastic」の略、つまり炭素繊維にプラスチック樹脂を染みこませた(含浸させた)もので、鉄やアルミニウムを代表とする金属のように強く、しかも軽いから、大型のヨットを高速で走らせるには理想的という話だった。

 当時は「そんなに優れた素材なら、将来はバスとかクルマなんかもCFRP製になるんだろうな」と思った。実際、その後、ゴルフクラブやテニスラケット、釣り竿や自転車などでCFRP製の商品が目につくようになっていった。

「クルマ1台で年0.5トンのCO2削減」の試算

 なのに、である。1972年に東レが炭素繊維複合材料の生産を開始してから40年も近く経っているというのに、F1のレースカーは別として、日常的に目にする乗用車でCFRPを車体の大部分に利用したものは一向に現れなかった。

 ところが、ここに来て「クルマとCFRP」を巡る状況が大きく変化し始めた。

 その背景となるのが、地球環境問題だった。

 東レは3月、「“地球環境に軸足を置いた東レの新成長戦略” -持続可能な低炭素社会の実現に向けて- 」を発表した。ここで“地球環境問題のソリューション”として提案された環境配慮型製品の中でも、とりわけ注目されたのが「CFRPでの軽量化による省エネの実現」だった。

 鉄と比べると、炭素繊維の強度は10倍、弾性率は7倍、比重は4分の1で、しかも錆びない。この炭素繊維を利用したCFRPを既存のスチール部品に代替すれば、必要な強さを確保したまま、圧倒的な軽量化が実現する。

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