「開発途上国の貧困改善に最も貢献しているのは、携帯電話を使った少額送金サービスだ」。野村総合研究所(NRI)コンサルティング事業本部でソーシャルイノベーションの研究・調査を進める松尾未亜・副主任はこう言い切る。
都市部で働いている人、海外に出稼ぎに出た人が、収入の一部を家族などに仕送りする際に「携帯送金」が使われている。
携帯電話が銀行口座代わりに


銀行口座を持たなくても、数千円、数万円程度のお金であれば簡単に、しかも安い手数料で送金できることから、アジアやアフリカで利用者が急増している。
ケニアで携帯電話事業者サファリコムが提供する「エムペサ(M-PESA)」もその1つだ。2007年2月にサービス開始後、2年あまりで680万人もの会員を獲得した。
その仕組みは至って簡単。カギとなるのはSMS(ショート・メッセージ・サービス)だ。電話番号をあて先アドレスとして、限られた容量のテキストメールを送受信するサービスである。
エムペサの利用者はまず、サファリコムの営業所や代理店で送金したい金額と手数料を支払う。そしてサファリコムの携帯電話の画面からエムペサのメニューを選び、送金相手の電話番号をあて先にして送金の額を入力し、ショート・メッセージを送信する。
メッセージを受け取った送金相手は、最寄りのサファリコムの営業所や代理店でその画面を提示すれば、現金を受け取れる仕組みだ。

4万2000円までの送金が可能
こういったSMS決済サービスを提供するのは、銀行などの金融機関ではなく携帯電話事業者である。
フィリピンではグローブ・テレコムが2004年10月にいち早く「ジーキャッシュ(G-CASH)」を開始。アフガニスタンやマレーシアでもSMS決済サービスが始まっている。
開発途上国の貧困層の多くは収入が少なく、金融機関に口座を開設できないケースが多い。口座を持てたとしても、銀行まで行くのに何時間もかかることは珍しくない。都市で働く人が、農村にいる家族に送金する場合は郵送するか、直接渡すしかなかった。
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