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マイクロソフトは10年遅れている

グーグルCEOが語る「クラウド」、そして「独占」

2009年10月19日(月)

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 シリコンバレーのアパートの一室で誕生してからわずか11年。米グーグルはインターネットの世界で、誰もが知る巨大企業に成長した。本業のネット検索では他を寄せ付けぬシェアを誇り、オンライン広告ビジネスも盤石に見える。さらに、モバイルやOSなど、新たなフロンティアを真剣に模索する動きも始まった。

 しかし巨大化するにつれて、現実社会との軋轢が強まっているのも事実だ。IT業界のライバルが連合して「グーグル包囲網」を形作る動きも出始めた。

 日経ビジネス10月19日号特集「グーグル包囲網 ネット原理主義はどこへ行く」の連動インタビューシリーズでは、グーグル幹部や関係者に直撃し、生の声をお届けする。

 第1回に登場するのは、グーグルのエリック・シュミット会長兼CEO(最高経営責任者)。2万人の社員を率いるトップに、現在の競争環境とグーグルの抱える課題について聞いた。

(聞き手は日経ビジネス記者、小笠原 啓)

エリック・シュミット(Eric Schmidt)氏

1955年4月米ワシントンDC生まれ、54歳。カリフォルニア大学バークレー校でコンピューター科学の修士号と博士号を取得。米パロアルト研究所などを経て、83年に米サン・マイクロシステムズに入社。後に最高技術責任者に就任した。97年から米ノベル社のCEOを務め、2001年3月にグーグル会長、同年8月にグーグルCEOに就任した。グーグル創業者、ラリー・ペイジ氏、セルゲイ・ブリン氏を加えた、「三頭政治」でグーグルを率いる。

インタビュー当日、シュミットCEOは手にダイエットコークの缶を持ち、ポロシャツにチノパンというラフな服装で登場した。髪も乱れていたため、「撮影はNG」。本社にいる時は、ほかのグーグル社員と同様、あまりスーツを着ないようだ。右の写真はグーグル提供によるもの。

 ―― モバイルや動画、企業向けソフトにOSと、グーグルが手がける分野は多岐にわたります。一番注力しているのはどの分野ですか。

 シュミット グーグルの出発点はネット検索で、今も検索の改良に最大の経営資源を割いている。検索キーワードを処理するコンピューターをさらに高速化し、より多くのウェブページを収集し、より多くの言語に対応していく。

 今後はユーザーがタイプしたキーワードに、どんな意味が込められているかを深く理解する必要があるだろう。そうして検索をさらに進化させていく。

グーグルが広告市場を支配することは不可能

 シュミット 収益面では、今の検索連動広告をもっと育てる必要がある。ただ、(2007年に31億ドルで買収した)ダブルクリックや(動画投稿サイトの)ユーチューブに代表される、ディスプレイ広告も伸びている。すぐに10億ドル規模の収入を稼ぐようになるだろう。

 ―― グーグルがオンライン広告分野でシェアを高め続けてきました。この傾向が続けば、グーグルが広告市場を支配してしまうのではないかと懸念する声もあります。

 シュミット 一例を挙げよう。ハリウッドには50年前から5つの映画会社が存在し、競争を繰り広げてきたが、どこも単独で業界を支配することはできなかった。同じように、グーグルが広告市場を支配することは不可能だと考えている。

 なぜなら、広告はゼロサムゲームではないからだ。仮にグーグルが広告市場を支配しようと考えても、広告主はグーグル以外のウェブサイトに広告を出せる。

 米マイクロソフト(MS)が独占するOS市場とは異なり、我々は広告主の行動をブロックできないし、そう考えることもない。競争相手が我々よりいい仕事をして、安い価格を提示すればいいだけだ。広告主にとっても、すべての予算を1カ所に集中させるのは賢明ではない。

数百万の顧客がグーグルアップスを使っている

 シュミット そういう心配をする人は、この業界の競争の激しさを忘れているのではないだろうか。ユーザーはただ「ワンクリック」するだけで、簡単に検索サイトを変えられるのだから。

 グーグルはイノベーションを続けて、ライバルよりも速く新しい製品を出し続けなければならない。グーグルはコンテンツを持っていないので、検索と広告に集中してユーザーを引きつけ続ける必要がある。誰が勝者になるかは、顧客が決めることだ。

 ―― グーグルは売上高の大部分を広告で稼いでいます。多くのサービスを提供していても、収益化に貢献していないように見えます。

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「マイクロソフトは10年遅れている」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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