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社長が代わればクルマは変わる(1)

「自動車よりインフラを」~エンジンを捨ててハイブリッド戦略に走ったトヨタ

  • 牧野 茂雄

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2009年10月22日(木)

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 「自動車が売れない」――。国内外の多くの現場でこういう言葉を聞く。自動車を設計している現場、自動車メーカーに部品を納入しているサプライヤーの製造現場、自動車販売の現場など、いろいろな場所で悲鳴を聞く。何が原因でしょうかと尋ねれば、「景気のせい」「若者のクルマ離れのせい」だけではなく「クルマが悪い」という声もある。自動車メーカーの広報部は決して口にしないが、現場には商品批判もある。

 筆者は28年間、自動車を取材してきた。前半の12年あまりは自動車業界紙の記者。次の6年間は出版社で自動車雑誌の編集顧問と自動車雑誌編集長を務めた。直近の12年間はフリージャーナリストである。自動車雑誌編集長を辞めた後は、自動車だけでなく家電、オーディオ、カメラ、音楽、アパレル、食料、エネルギーといった業界にも首を突っ込んだ。

 そこで感じたことは「やっぱり自動車業界はいちばん面白い」である。理由は、素材から部品、流通まで、多種多様な業種が自動車に関連していることと、ほぼすべての国民が何らかの形で自動車と接しているという「社会性」にほかならない。

国家経済を背負うのに、その評価は「カッコイイ」や「カワイイ」

 しかし、自動車という商品は感覚的に扱われてしまう。国家経済を背負っていても、消費者には「カッコイイ」とか「カワイイ」とかで片付けられる。10文字以上の評価をするのはメディアとマニアくらいのものだ。

 評価の仕方も千差万別である。筆者が新聞記者だったころには、自動車メーカーは経団連機械記者クラブだけのために記者会見を設定してくれていた。新型発表会見では、「クルマからは離れますが……」という前置きの質問がほとんどだった。為替や株価、通商問題、提携話、春闘などが主な質問。新車のことはあまり話題に上らない。

 ただ、流行のようなものがあって、バブル絶頂期には「営業利益予想の上方修正」「年次の販売目標の上方修正」「生産設備の自動化」などに質問が集中した。どんどんクルマが売れ、自動車メーカーは儲かり、販売台数は毎月のように月次新記録。しかし人手が足りないから「人間ひとりの代わりにロボット1台1億円なら安いものです」などという景気のいい話ばかりだった。

 バブルが弾けると一転して「旧型モデルとの部品共有化率」が真っ先に質問された。自動車メーカーの役員が「金額ベースで65%です」と答えると、それが新聞の見出しになった。筆者はよく「先代から65%の部品をキャリーオーバーしておいて新型車ですか」と、商品開発担当役員にツッコミを入れたが「時代のニーズに合った新車開発もありまして……」と言われて面食らった。しかし、経済部記者諸氏の間では、キャリーオーバーの比率が評価の対象になった。

 一方、自動車雑誌では、自動車メーカーを企業として扱う記事はほとんどない。試乗レポーターがクルマを運転し、それを評価するという記事が多い。商品こそは自動車メーカーと社会の最も大きな接点であるという立場での評価だ。いかに素晴らしい業績を上げている自動車メーカーの商品でも、つまらないクルマはあまり取り上げられない。その「つまらない」の判断基準は、クルマ好きの読者が「こう思うであろう」という予測、あるいは編集長の価値観だが、話は早い。「商品よければすべて良し」である。

 自動車という商品の場合、企業業績だけで評価するのはおかしい。商品と企業をセットで評価しなければならない。これが筆者の持論である。自動車メーカーという企業が、どのような手順を経て、何を思い描いて、そのクルマを生み出したのかという背景と、実際に世に送り出された商品の「自動車としての姿」をセットで評価すべきだ。そして、企業のトップである社長が果たすべき役割、下した決断も評価に含まれるべきである。

まずはトヨタの「社長と商品」を掘り下げる

 本連載「牧野茂雄の深読み自動車マーケット」は、このような思いで始まったが、今回からは社長と商品を取り上げる。社長がどのようにクルマづくりにかかわってきたのか。いま、社長は何を考えているのか。こうした点を掘り下げてみたい。

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