石川島播磨重工業(現IHI)に入社して船舶基本設計部に配属された24歳の時、「基本設計」の重要性を思い知らされた。
船舶基本設計部は東京・新大手町ビルの10階にあり、総勢150人の大部隊だった。最初の2年間は“計画屋”という仕事についた。基本設計の中でも船全体の設計をとりまとめる役割だ。
基本的に船は一品生産である。顧客の要望に合わせて一隻一隻を設計し、見積もりをし、うまく受注できれば生産できるように設計を固めていく。基本設計には、受注のための設計と、受注した船を約束した通りの性能になるようもう一度基本的なことを論理的に確実にしていく設計の2つがあった。後者が終わった後、B会議と呼ばれる場で基本設計内容をすべて生産工場側に伝達して、基本設計作業は一応終わる。後はその船が完成して試運転する時に立ち合い、顧客と最初の乗組員に性能を確認してもらって引き渡す。
生産設計に移ってから、基本設計のミスが見つかり、工場設計から電話がかかってくることもある。
「宮田さんの図面だと、デッキの位置で150ミリメートルずれてしまいますよ」
私は苦し紛れに答える。
「その位置は性能に関係ありませんから、そちらで直して下さい」
基本設計を誤ると、製品として成立しない
船の基本設計で一番大切なのは仕様設計だ。与えられる条件は、「何トンまたは何立方メートルの貨物を、何ノットのスピードで、何マイルの距離を運べるか」ということだ。
この輸送ミッションを行う船の長さや幅や深さはいくらになって、エンジンは何馬力で、船の重さは何トンで、全部のコストはいくらになるかを算出する。これが船の設計で一番大切なことだ。これを間違えると製品として成立しないこともある。
基本設計は、過去の経験とそれを一般化したルールで行うのが基本だった。しかし、1970年代に入ると、計算機による解析の結果も使うようになっていった。Design by Experience からDesign by Analysisへ移ろうとした時機だった。
普通、こんな重要な仕事を新入社員に任せることはない。しかし、私は有難いことに入社2年目でこの仕事に取り組むことができた。しかも開発中の、技術的に難しいLNG(液化天然ガス)運搬船だった。36年前でも250億円ぐらいする船だ。見積もり依頼をしてきたのは米国の石油会社E社で、おまけに通常の19ノット(時速36キロ)ではなく24ノット(時速45キロ)という全く新しい設計条件が突きつけられた。
計算尺と手廻し計算機とソロバンで行う基本設計の仕事は楽しかった。19ノットのLNG船は243メートルの長さなのに、私の設計した24ノットのLNG船は長さが280メートルになった。なかなか美しい設計だと思った。しかし、私の設計案が上層部に上がって、担当常務から下りてきた指令は「船は短いほど安く建造できる。もっと短くしろ」だった。タンカーとLNG船では最適解は違うはずだったから、理不尽だと思った。
CO2を減らすことが、当然のことのようになっていますが、科学者であれば、本当に減らす必要があるかを検証してから、減らすべきだと言うべきです。温暖化派は6000年前に危険な温暖化があったというが、その当時にどうしてCO2が上がったのでしょうか?だれが何を燃やして、CO2が増えたのでしょうか?石油が見つかる前に、今よりもずっと温暖な時期があったというのなら、なぜそうなったかを明らかにすべき。現在の石油使用量はだいたいわかっているのだから、それを全部燃やしたら、CO2がどれだけ出ているかわかるはず。それと、実際のCO2濃度上昇が一致しているとは思えない。(2009/10/24)