「Web2.0(笑)の広告学」

「女性誌やクルマ雑誌は全滅だ」。思わず広告マンは呟いた

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2009年11月4日(水)

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 当コラムの前回記事「『この映画を見て、チョー感動しました! は、法律で禁止されるのでしょうか?』」には、前々回の「『個人の感想であり、商品の効能を確約するものではありません』は、法律で禁止されます。FTC規約改訂の衝撃」に引き続き、多くの反響がありました。読んでくださった皆さま、またコメントをお寄せくださった皆さま、ありがとうございます。

 こうした反響を受けて先日、日本のWOM(Word Of Mouth≒クチコミ)マーケティングに関する、業界の健全なる育成と啓発に寄与する目的で、今年の7月に設立された、 WOMマーケティング協議会(英語表記:The Word of Mouth Japan Marketing Association 略称:WOMJ)の「ガイドライン・プロジェクト」のミーティングにゲスト役として声がかかり、今回のFTCの規約改訂に関して概要をお話してきました。

ご質問にお答えします

 その時の参加者の方々とのやりとりは、今回のコラムの後半で紹介します。
 今週も、まずは、読者の皆さまからコメントで寄せられた質問に答えるところからはじめましょう。

問:消費者の80%が効果を実感しています、みたいな広告はどうなるのでしょうか?

 今回の規約改訂の中には、「一般消費者がおおむね等しく感じられる効果」を「ちゃんと証明可能な証拠を保持した上で」、広告の中で訴求する分には問題はない、としています。「80%」が「一般消費者がおおむね等しく」となるかどうかは、規約改訂の中で明文化されていませんが、おそらくその点に関しては大丈夫なのではないでしょうか。むしろ、問題となるのは「効果を実感しています」の「効果」がどのようなもので、それが「証明可能」であるかどうか、という点です。

騙しは許さない

 規約改訂の中で繰り返し使われるキーワードが「deceptive」(騙しの)というもので、消費者を騙すような表現を「推奨広告」でしてはいけませんよ、というのが今回の規約改訂の背骨のメッセージだと理解しています。

 具体的に、「体重ミルミル減るシェイク」(Weight Away Shake)というダイエット商品を引き合いに出しての事例を紹介しましょう。

 以前は太っていた女性を登場させる広告。

 彼女は広告の中でこう言うのだ。「毎日、私は『体重ミルミル減るシェイク』を2杯飲みます。それ以外は生野菜しか食べません。そして6時間、ジムでハードにエクササイズをします。始めてから6カ月たつ頃、以前は250ポンド(約113キロ)あった体重が、140ポンド(約63キロ)にまで減りました」。

 この広告は、一般消費者が、自分も彼女のような肥満体の女性であった場合、「体重ミルミル減るシェイク」以外は、生野菜しか食べず、激しい運動を6カ月間続けることで、同様に痩せるであろうと予測される範囲の中にあると判断する。この広告に登場する「推奨者」(Endorser)は、自分の経験した極めて特殊な状況をつまびらかに説明しているので、そもそもの体重がもっと少ない女性や、彼女と同様の食生活や運動をあわせてしない場合には、6カ月で110ポンド(約50キロ)痩せることはないだろう、と想像するだろう。

 しかし単に、「『体重ミルミル減るシェイク』の使用と、食生活の改善と、日々のエクササイズにより、女性の体重が6ヶ月で110ポンド減った」という程度の表現では、この女性の経験の背景にある特殊な環境を十分に説明しているとはいえない。

 また、いずれの場合にせよ、広告主は「体重ミルミル減るシェイク」に減量効果があることを証明する証拠を保持している必要がある。

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著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

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