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日常空間を情報化する技術とは?

フラットなインターネットの限界

  • クロサカ タツヤ

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2009年11月5日(木)

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 前回の連載更新直後、ソフトバンクの2010年3月期の第2四半期決算説明会の中で、ソフトバンクモバイル(以下、SBM)の次世代インフラ設備投資が先送りされることが発表された。

 具体的には、2010年スタートとされていた開始タイミングが2011年からとなった。また合わせて当初はHSPA+(3.5G規格の一種、設備投資の拡充が必要)とされていた規格も、HSDPAというより現状の3G(第3世代規格)インフラに近いものに変更となっている。HSDPAは既にNTTドコモなどが提供しており、次世代インフラ整備というより、他キャリアのキャッチアップという印象が強まった格好である。

 またPHS事業者のウィルコムも、10月1日に次世代通信インフラのXGPサービスを開始したが、そのエリアは東京・都心部の一部からとなっている。次世代ケータイのインフラ整備が、通信キャリアにとって高いハードルとなりつつあること、またSBMのように重い有利子負債の返済義務を抱える事業者にとっては克服困難なハードルであることが、徐々に明らかになってきた。

 次世代ケータイインフラの中核を成すデータ通信は、従来高いARPU(契約当たり月間平均収入)や関連事業の収入が期待され、ケータイ産業の成長を支えてきた領域である。この構図自体は現在もそう大きくは変わっていない。ただ、増大し続けるトラフィックと、今後訪れる次世代インフラ整備の設備投資負担を前にして、通信キャリアに必ずしもバラ色の未来が待っているわけでないことは、前回でも触れた通り。

将来の情報通信環境

 これは何もSBMやウィルコムだけが当てはまるわけではない。次世代インフラ整備を「やらなければならない」というレベルで迫られているKDDIの悩みは、ある意味でさらに深いだろう。またNTTドコモでさえも本当にエコシステムが作りきれるか半信半疑なのは、彼らが総務省に提出したLTEの設備投資計画が、必ずしも全国展開を想定していないことからも明らかである。

 となるとおそらく今後は、単にインフラの性能を上げていく設備投資競争を行うだけでなく、少なくとも移行期には現状のインフラの拡張や効率化でネットワークの基本性能をしのぎつつ、次世代展開後にも共有できるような新たなサービス基盤をどのように作り上げるかが、ケータイの競争優位性を左右することになっていくのだろう。

 果たしてそんなに都合のいい事業基盤ができるのか、またスムーズに移行していけるのか。正直、筆者自身も、まだ確信を持ってその姿を描けているわけではない。ただ「少なくともこういう方向性には進むだろう」という基本的な構図は、整理しつつある(下図)。

画像のクリックで拡大表示

 やや込み入った描き方をしているが、中身はそれほど難しいことではない。要は、通信インフラの整備が厳しいのであれば、どこで付加価値を見いだしていくべきか、という話である。その時にカギとなるのは、情報システムとプラットフォーム機能だと仮定すると、それらは全体の中でどこに置かれていくのか、そして通信インフラと情報システムはどのようなバランスを取りながらサービス基盤として成立していくのか、という論点を整理したものである。

 従ってこの図は、すべての通信キャリアやケータイ産業事業者が、この図の通りになっていく、ということを意味しているわけではない。例えば通信インフラの整備ができない通信事業者であれば、自ずと情報システムやプラットフォームの存在が大きくなっていくだろう。

 反対に、次世代インフラの整備をある程度進められる通信キャリアであれば、まずはモバイル・ブロードバンドやその卸売(つまりMVNO=仮想移動体通信事業者=)を事業の柱にしていくだろう。この時の競合相手は、当初のモバイル・ブロードバンドの事業展開のシナリオで考えられるように、ADSLの「巻き取り」など固定網との勝負となっていく可能性がある。

 また、おそらく今後のケータイ事業者は、通信インフラと情報システムのどちらかしか持たない、ということはないだろう。通信キャリアでなくとも通信インフラはMVNOで調達できるし、また通信キャリアもクラウドサービスの形で情報システムを外部調達することは可能である。となると両者をバランスさせていく中間解として、リッチコンテンツの提供や、スマートフォンによる高度なサービスの提供なども視野に入るだろう。

 さらにこうした機能は必要に迫られてアンバンドルされていく。例えばプラットフォーム機能は、総務省の後押しもあることから、通信キャリアでない事業者が提供することも考えられる。また情報システムはそもそも通信キャリアの領分ではないことから、いわゆるクラウドサービスの担い手である情報サービス事業者やコマース事業者などと、アライアンスを組んでいくことになるのだろう。

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