「澁谷征教の「日米住宅漂流記」」

「優雅」と「自由」が当たり前のセカンドライフ

日本の老人ホームとは大違い「リタイアメント・コミュニティー」

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2009年11月10日(火)

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 前回は、子育てを終えた熟年者のための「セミリタイアメント」「リタイアメント」向け住宅について取り上げました「(子に巣立たれた親を癒やす間取り)」。今回はそうした住宅が集まる「リタイアメント・コミュニティー」についてお伝えいたします。

 「老人ホーム」ではないものの、補助や看護を必要とした熟年者や退職者向けの住宅・住宅地が、「リタイアメント・コミュニティー」という名前で1960年代から米国で開発・分譲されてきました。

 初期の大規模な開発事例の1つが、米フェニックスにある「サン・シティー」です。この街は、1970年代後半の第2次開発を含めると、270万坪の広大な敷地に1万2300人の高齢者が豊かに暮らせる街として開発されました。このようなリタイアメント・コミュニティーはその後、南カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、テキサス、フロリダといった温暖な地域に続々と建設されます。200〜400世帯程度で従来型の小規模な「集合住宅型」を含めると、全米各地に建設されました。

 リタイアメント・コミュニティーの多くは、「夫婦のいずれかが55歳以上であるか単身者であること」を入居の条件にしています。つまり、子育てを終えた55歳以上の人たちが、限られた生活費の中で安全と健康を確保しながら生活するための街として開発されたのです。

暗いイメージを一掃した「リタイアメント・コミュニティー」

 当初、コミュニティーの住宅は主に、夫婦2人用のコテージ型のシンプルな形式でした。その後改良を重ね、高齢者の多様なライフスタイルに対応するための新たな工夫や、優れた運営方法が生み出されています。

 今では年齢の範囲も広がり、「セミリタイアメント」の人々、つまり40歳代後半から入居できる健常者向けのコミュニティーから、ケア付きコミュニティーまで、多様なライフスタイルに対応した開発がされるようになりました。

 また、「老人ホーム」と呼ばれてきた集合住宅(Assisted Living Facility)、さらに完全介護付き高齢者住宅(Nursing Facility Senior Living Residence)に至るまで、健康状態に応じた様々なタイプの住居が完備されているところもあります。入居者はそのコミュニティー内で、それぞれのステージに応じた住宅に転居することも可能になっているのです。

 今まで「老人ホーム」と言えば、どうしても暗いイメージが付きまとっていましたが、このようなイメージを一掃したのがリタイアメント・コミュニティーなのです。

フロリダに開発された400万坪の「リタイアメント・コミュニティー」のメインオフィスの前庭
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豊かなリゾートライフを求めて

 広大な敷地内には、多種多様な施設が完備されています。

 ナイター設備付きのテニスコートやソフトボール場、スイミングプール、乗馬クラブに、優雅なポロの競技場。すべての施設には観覧席が設置されています。専用のゴルフ場には、比較的易しいコースと本格的なチャンピオンコースがあり、その周囲はサイクリングコースとなっています。そして、災害用の調整池では模型のヨット競技が開催されます。自然との触れ合いを求めるアウトドア・アクティビティーの数々と施設が揃っているのです。

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著者プロフィール

澁谷 征教(しぶや・ゆきのり)

澁谷 征教

 住宅地の企画開発プランナー。世界基準に基づきエポックメイキングな街並みを創造する日本の第一人者。
 国内で最も米国型住宅の実績の多いプライドホームの顧問、「住宅生産性研究会」理事。
 また、 住宅開発総合企画と建築デザインを行う、珍しいタイプのデザイン事務所、ハワイと日本に本部を置く「デザインコンセプト インク」の日本代表を兼ねる。
 代表的な開発例は、南ヨーロッパの城郭都市のような景観を実現し、資産価値が高まる街として知られる「南町田マークスプリングス」(横浜市瀬谷区)。
 1972年、ミキヤ創業。お台場13号地のレストラン・ショッピングモールの企画、新宿高層ホテルのインテリア・デザインの設計等、大規模開発の企画を受注。
1995年〜2004年、分譲住宅の設計企画及び集合住宅の設計企画を主たる業務とする。
1998年、ホノルルにデザイン室を開設。2004年プライドホーム顧問、ラウリマデザインスタジオ・デザイン室主幹、住宅生産性研究会では常任の講師を務める。
埼玉県不動産鑑定士協会研修会、国土交通省国土交通大学校専門課程住宅行政研修などで講師の経験あり。著書に「マークスプリングス物語」(井上書店)がある



このコラムについて

澁谷征教の「日米住宅漂流記」

「日本の住宅を、何とかしてより良いものにしたい」。米国と日本の住宅制度や開発設計を熟知する著者が、未来の日本の住宅論を展開する。金融関係者やデベロッパーではなく、住宅地計画者・プランナー・建築専門家という立場から、日本のあるべき住宅の方向性を示す

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