「Web2.0(笑)の広告学」

近頃、新聞のウェブへの視線がイタイ。

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2009年11月10日(火)

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 ここのところずっと当コラムで取り上げている、アメリカFTCの規約改訂に私がそもそも関心を持つようになったきっかけは、「米国、ネット上のクチコミ広告に規制へ」という新聞のヘッドラインを見て「おいおい、規制の対象は『ネットのクチコミ』だけじゃないでしょう」と思ったことでした。

 それ以外にもここのところ、新聞を読んでいて「この書き方には、何か別の意図があるんじゃないか?」と疑問を持ってしまうケースが増えています。

 新聞社の多くが購読料と広告収入の両方を落としている中で、「なんだか、ウェブへのバイアスがかかっているのでは」と感じる新聞記事が目立つようになっている気がするのです。

 今週は、近頃よく見かける、新聞のウェブへの見過ごせない論調を取り上げたいと思います。

ジョロウグモとワールド・ワイド・ウェブ

 11月3日、文化の日の朝日新聞「天声人語」の書き出しは「しばらく前、色づき始めた新宿御苑を歩くと、ジョロウグモがあちこちに大きな網を張っていた」というもので、「ジョロウグモ??」と気になって読み進むと、「婚活詐欺女」として話題の詐欺事件の話が主題であることが徐々に明らかになっていきました。

(前略)
 女が張った網はインターネットだった。良縁を求めるサイトで知った男性に「支援」を訴え、ブログでおしゃれな生活を公開する。そこには、手料理、食べ歩き、高級外車と、男性をおびき寄せる蜜をまぶしていた。
(中略)
ネットを介した出会いで泣くのは女性、毒手は男に生えているという「常識」を揺るがす展開である。
(中略)
女が地味だ平凡だと聞くほどに、実像と虚像の境界がぼやけ、ネット空間で増殖する毒素が浮き彫りになってくる。

 毒手が男ではなく、か弱い存在のはずの女性に生えていた、今回の「婚活詐欺女」事件を可能にしたのは、毒素を増殖するネット空間が出現したからだ、という論調に取れます。たしかに容疑者がネットを巧みに利用した事実は否定できないものの、犯罪の手段を無理やり原因として糾弾しているように思えて、居心地の悪さを感じたのです。

 また、「出会いで泣くのは女性、毒手は男に生えているという常識」は、ネット出現のはるか以前からとうに揺らいでいたはずです。

 何より「天声人語」の書き出しに「ジョロウグモ」が登場して「ワールド・ワイド・ウェブ」で増殖する毒素へと話が展開していく、段取りのスムーズすぎる点が気になって仕方ない・・・のですが。しかし、それはきっと私の頭が既にネットの毒にやられてしまっているからなのでしょう。

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著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

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