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国家戦略室の環境戦略とは?

「CO2、25%削減」を実現するシナリオを創造せよ

  • 宮田 秀明

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2009年11月27日(金)

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 政府の国家戦略室はまだ機能していないようだ。菅直人担当大臣がドイツの電気買い取り制度(フィードインタリフ)と同じことをすれば環境問題が大きく前進するかのような発言をしていることからもそれが分かる。他の先進事例の紹介や後追いだけでは戦略にならない。

 戦略性のない日本の行政はこの30年ほど続いていると思う。1980年以降ということだ。この時代は、民間と市民の頑張りで持ちこたえてきたと言えるかもしれないのだが、その間に不動産バブルやITバブルがはじけたり、ついには経済危機に陥ってしまったことから分かるように、価値観の変化とともに、社会は複雑化して非線形(nonlinearity)性を高めてきた。

 こんな時こそ「戦略性」を、そして「長期的な視点からの国家戦略」を取り戻すことが必要なのだ。鳩山政権の「CO2排出25%削減を目標」も「アジア共同体構想」も、そういう意味では素晴らしいことだ。新政権は21世紀にふさわしいビジョンを語っているからだ。

 民主党政権の支持率の高さは「ビジョンを持っていること」と「閣僚が真摯に行動していること」による部分が大きいと思う。ビジョンを持って現場を見ようとする姿勢は称賛に値するものだ。すべての素晴らしい仕事はビジョンと現場から始まるからだ。

民主党政権のブレーン機能を強化せよ

 しかし、現場で問題を認識してビジョンを実現しようとする時、次に行わなければならないのは、コンセプトを獲得してモデルを作り出すことだ。国家戦略室の使命は、よく現場を理解して、ビジョンを実現するためのコンセプトやモデルを作り、それを具体的に設計することである。

 どうしてこうなったのかわからないが、日本では、このようなコンセプトやモデルを創造できる人材がいつの間にかいなくなった。シンクタンクを標榜する企業は政府の下請け業務に注力し、税金をもらって経営して、本来のシンクタンクとしての能力を喪失してしまっていると言っても過言ではないだろう。

 沖縄グリーンニューディールのプロジェクトでは、私たち東京大学グループが沖縄に対するシンクタンク機能を果たしてきた。東大も日本のシンクタンクの1つになるべきだと思ってやってきたことなのだが、日本の民間シンクタンクはもっと成長して政府に対するブレーン機能を活発に果たしてほしい。

コメント4件コメント/レビュー

産業革命以来の社会・産業構造が根本から変わるとしている現在、ビジョンに裏付けられた戦略を持つ国家のみが、組織のみが生き残るのは同意。ただ、その戦略策定を既存組織に求めるのは疑問。特に歴史の長い組織では強固な忖度社会が出来上がってしまっていて、前例に縛られ、既存権益や構造を保存する発想から抜けられない。難しいのは当たり前だが、全く新しい組織で、というのは基本的に正しいと思う。もちろん、ここのコメントにも多いように、既成組織・権力からの抵抗は激しいだろうが、菅戦略室には大胆な既成構造の破壊と新構造の創造を期待したい。(2009/11/27)

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いただいたコメント

産業革命以来の社会・産業構造が根本から変わるとしている現在、ビジョンに裏付けられた戦略を持つ国家のみが、組織のみが生き残るのは同意。ただ、その戦略策定を既存組織に求めるのは疑問。特に歴史の長い組織では強固な忖度社会が出来上がってしまっていて、前例に縛られ、既存権益や構造を保存する発想から抜けられない。難しいのは当たり前だが、全く新しい組織で、というのは基本的に正しいと思う。もちろん、ここのコメントにも多いように、既成組織・権力からの抵抗は激しいだろうが、菅戦略室には大胆な既成構造の破壊と新構造の創造を期待したい。(2009/11/27)

確かに国家戦略を欠くことが最大の問題だと思う。炭酸ガス25%削減策はその必要性も理解されず、費用負担ばかり強調され、我が国が貧乏くじを引いてしまうのではないかとの心配論が大勢になってしまったことは、本稿に対する読者の関心の低さからも覗えるであろう。何十年後かに着実にやってくる原油の枯渇時代の勝者になるために今から取り組むといった発想の転換が必要であると思う。定電圧を維持する供給側のスマートグリッド技術は世界最高であろう。しかし、電力を消費する側のスマートグリッド技術は深夜電力の割引などといった極めて乏しい技術しか実用化されていない。この点に関するスマートグリッド技術はイタリアが進んでいて世界から注目されている。これにより電力のロスは格段に改善される。電気自動車の普及は予測より早いスピードで進むと私は考えるのでその寄与は相当と思うが、もっと大きなイノベーションに期待がもてる。例えば、炭酸ガスを有機物合成の原料とすることであり、我が国の大手化学メーカーでも初期段階であるが作られだした。鉄鋼業界への負担とか家庭への負担費用などばかり議論していては世界のすう勢から取り残されることは間違いない。政府は現在の世界の動き、すう勢を国民に知らせ、マスメディアの視点も別の角度から見るよう助言する必要があると思う。(2009/11/27)

東大に、というか(東大とその周辺のメガ私大群の)「東京的発想」にシンクタンク機能が、そもそもありうるのだろうか。確かに、宮田教授のご指摘のように「戦略性」が日本人の思考習慣から消えて久しい。それは、大風呂敷が広げられなくなったという類のことではない。われわれが「生きる」ということの意味を、「生活水準」とか「自己実現」とかの結局のところ「その日暮らし」の表面的な水準で理解して満足しきっていた(=「東京的発想」)から、戦略性の立ち入る場がなくなり、そして、忘れてしまったわけである。「沖縄」はいいかも知れないが、「日本」、いや「世界」に対しで提案できないのに沖縄に対し何が提案できると言うのだろう。(2009/11/27)

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