「Web2.0(笑)の広告学」

人間にどうしても必要なのは「物語」

今だからこそ、広告オールドスクールの教え その3 『他人には「ストーリー」でしか伝わらない』

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2009年12月1日(火)

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 ウェブ広告の時代だからこそ、オールドスクールから学ぶべきものを忘れてはいけない、という短期集中講座(笑)、今回がとりあえず最終回です。

 前回、「『必死の雑談』でアイデアを作り出」したわけですが、それを世の中に広めていくためには、何が必要か? ブログ、ツィッター、モバイル、と、道具を考える前に、まずやるべきことがあります。

 すぐれた広告キャンペーンは、それがあたかもホットニュースのように巷の話題になって、人から人へと伝播していきます。そのために大切になるのが、そのキャンペーンに、一本筋の通った物語、ストーリーラインが存在していることです。

 すぐれた企画案は、エレベーターの中で乗り合わせた重役と、エレベーターが目的の階に到着するまでのわずかな時間の間に、しっかり伝えることができるものである、と言われます。このエレベーターピッチの成否もまた、受け手の心にスッと入り込むストーリーラインにかかっています。

 広告キャンペーンに限らず広くビジネスプランにも応用可能な、すぐれたストーリーラインの条件とは何か。今回も、広告オールドスクールの教えを紐解きいていきます。

伝播するストーリー、3つの条件

 アイデアの最終プランを練り上げていく上で重要になるチェックリストが、これから紹介する伝播するストーリーラインの3つの条件です。

条件その1:SIMPLE シンプルであること

 アイデアのコアは明確でなければなりません。すなわち、ひとつのキャッチフレーズに集約できるものです。「Aが、Bになって、Bが、やがて、Cになります。そして、その最終結果がDです」といった、ややこしいアイデアには、忙しい消費者や重役は、見向きもしてくれません。そしてすぐれた広告キャンペーンのキャッチフレーズは、単なるレトリックではなく、戦略そのものです。

条件その2:CONVINCING 説得力があること

 「なるほどね」「言われてみれば、そりゃそうだ」と、受け手の心にストンと落ちる納得性を持ったストーリーであるかどうか、チェックしましょう。これは第1条件のシンプルにも共通することですが、複雑で理解しづらいものは後回しにされがちです。トントントンとリズムよく論旨が展開される。伝播する企画は、スピード感のある説得力を備えています。

条件その3:CONVEYABLE 伝えたくなること

 人は優れたストーリーに触れると、誰かに伝えたくなります。「聞いたかよ、おい!」「おう、聞いた、聞いた、俺は前からそうじゃねぇかと思っていたんだよ」…。落語に登場する長屋の熊さんと八さんの会話は、まさに、人から人へと話題になって伝播していく、すぐれたストーリーラインの特性をあらわしています。自分たちのアイデアは、触れた人がさらに誰かに教えたくなるような魅力があるかどうか、クールな目でチェックしてください。

「このアングルで攻めよう」と判断できるのが、プロフェッショナル。

 リチャード・ギアが敏腕弁護士に扮したミュージカル映画『シカゴ』。浮気相手の男性を射殺した主婦の弁護を引き受けた彼は、「罪を悔い改める、不幸な生い立ちの女」に依頼人を仕立てるという戦略を決めます。やがてシカゴ中のメディアがこのニュースに飛びつき、人々の注目と話題を一手に集める裁判は、彼の計画通りに展開していきます。

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著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

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