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ASEANの足になる? 年600万台の大市場に初めて現れたオートマのモペット型2輪車

  • 浜田 基彦

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2009年12月10日(木)

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 1000万円もするクルマや、時速200キロも出るクルマの記事を書いていると、尾てい骨の辺りがムズムズすることがある。これが世の中のためになるんだろうか。頭脳と熱意を別の方向に向けた方がいいのではないか。いやいや「金持ちから金をふんだくって労働者の仕事を作る“義賊”の仕事だ」と思えばいいさ。……などと自分に対して言い訳することもなく、気持ちよく書けるのがこの話題だ。

ヤマハ発動機が発売する「LEXAM(レグザム)」

 ヤマハ発動機がベトナムで発売する2輪車「LEXAM(レグザム)」。清く正しく美しく。ASEAN(東南アジア諸国連合)の人たちの暮らしに役立つ“足”だ。

 ASEANは人口5億8000万人、年に1000万台規模の2輪車が売れている。そのうち600万台は前後17インチのタイヤを履き、乗り降りしやすいように主フレームが下側へ湾曲した2輪車だ。ヤマハは「モペット型」と呼ぶ。

 清く正しくても欲はある。楽なオートマを知ってしまえばマニュアルに戻りたくはない。タイヤの小さな「スクータ型」の2輪車ではオートマ、それもCVT(無段変速機)が常識だから問題はない。問題は今までオートマがなかったモペット型のお客様だ。

 何しろASEAN諸国は舗装率がとんでもなく低い。荒れた道を、大家族を全員乗せてかっ飛ばす。タイヤが大きく、安定して走れるモペット型の2輪車が欲しい。シェア6割も納得である。「LEXAM」は、その大市場に初めて投入したオートマで、しかもモペット型の2輪車なのである。

硬いけど柔らかい、ヘンなベルト

 スクータ型のCVTはかなり大きい。エンジンから車軸に力を伝えるベルトがそのままCVTのベルトを兼ねている。それなりにうまい設計ではある。

 これと同じことを、モペット型の2輪車に応用するわけにはいかない。マニュアル版も残すことになるから、CVTは今のマニュアル変速機の寸法に納めたい。よしんば専用に設計できたとしても、スクータ型のCVTでは重心が後ろに下がりすぎ、安定して走れない。もっと小さなCVTが欲しい。

 CVTを小さくするためには、プーリ(ベルトを巻きつける滑車)を小さくして、ベルトも小さく巻きつけたい。ところが、今のゴムベルトではそれができない。

 ゴムベルトをプーリに巻きつけて引っ張ると、プーリの谷に引き込まれるように変形する(下のイラスト)。回転させると、プーリに巻きついたところでは変形し、直線では元に戻る。これを繰り返すから、ベルトは熱を発生し、損失が出る。それがいやなので、ゴムベルトはむやみに柔らかくはできない。

ベルト1コマを拡大。ナロマジロ(左)はこの形の変形に対しては硬いが、ベルト全体としては柔らかく曲がる。ゴムベルト(右)はプーリの谷に引き込まれるように変形する

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