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「煮え切らなさ」が信用を低下させる

欧州で考えた日本ケータイ産業の存在感

  • クロサカ タツヤ

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2009年12月10日(木)

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 欧州に出張している。クリスマスシーズンのパリとブリュッセルという、まるでパッケージツアーのような日程だが、現実はそんな優雅な日々は過ごせず、当地での業務と日本の師走を一手に引き受け、時差を駆使した24時間フル稼働状態である。

 この繁忙を支えるのは、日本から持ち込んだケータイだ。以前は電話代を気にして現地でプリペイドのSIM(シム)カードを手に入れて利用していたが、電話番号やアドレス帳をはじめ、諸々シームレスに使えるというメリットは代え難い。最近は海外でも日本にいるのと同じように使い、翌月の請求書で軽く肝を冷やすのを繰り返している。

 この日本から持ち込んだケータイを、パリからブリュッセルへ向かう列車の中で眺めていた時のこと。3G(第3世代)の電波が確認できればそちらに優先接続するはずが、ベルギーに入ってから3Gの電波をあまり捕まえないことに気がついた。さすがにiモードで日本のケータイウェブサイトにアクセスするような利用をするつもりはないから、データ通信の速度などで支障を来すというわけではないのだが、移動中に適宜確認すると、ほとんどGSM(第2世代)だった。

 ベルギーのケータイ通信キャリアは、準国営のベルガコム傘下の「ベルガコム・モビル」(ブランド名「プロクシムス」)、フランステレコム傘下のオレンジの子会社である「モビスター」、そしてオランダKPNモバイルの子会社である「BASE」の3社である。このうちプロクシムスとモビスターは3Gサービスをスタートさせているが、BASEはGSMのみの提供で、筆者の端末はこのBASEの電波をよく捕らえていたようだ。

 ここで話が終われば、「たまたまそうだった」ということになる。しかし状況はブリュッセル市内でも同様であった。気になって街角を眺めてみたが、米アップルのiPhone(アイフォーン)を使っている人はあまり見かけない。店頭にもあまり並んでいないし、カフェでの暇つぶしでも使っているのはフィンランドのノキアやスウェーデンのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズといったGSMと思わしきケータイである。

 短い時間にカチャカチャとテンキーで打ち込んでいる様子から、おそらくはSMS(ショート・メッセージ・サービス)のやり取りを楽しんでいる程度だろう。もはや3Gが主体であり、iPhoneユーザーも多いパリとは、様相が異なる。

欧州委員会はGSM廃止を目指すが・・・

 ベルギー王国は、ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)と呼ばれる欧州北西部の小国群の1つである。人口はおよそ1000万人強で、フランスやドイツのような経済大国に比べれば規模は劣るが、購買力平価でならした1人当たりGDP(国内総生産)は日本より高い。実際、アントワープという欧州随一の良港を抱えた一大物流・製造拠点であり、首都ブリュッセルは欧州政府の代表部を有する国際都市でもある。トヨタ自動車をはじめ、ブリュッセルに欧州の拠点を置くグローバル企業も少なくない。

 すなわち、3G投資を手がけられないほど経済が困窮しているわけではない、ということだ。実際、3社中2社が国外資本(フランスとオランダ)であるとはいえ、人口1000万人の国にキャリアが3社存在しているというのは、平たく言えば「それなりに美味しい」市場であるということの証左でもある。

 実際、欧州委員会は近い将来のGSM廃止を目指した「GSM指令」を既に欧州各国に提案しており、これに呼応する形でベルギーも2013年7月2日をもってBASEも含めた全キャリアのGSMサービス停止を予定している(BASE以外のキャリアのサービス停止はもっと早い)。この期日まで後4年を切った段階で、そろそろ移行準備に入るというところだろう。

 しかしそのベルギーで3GではなくGSM利用がいまだ台頭しているというのは、興味深い事実である。1つは、ユーザー自身が「GSMで十分」と考えている(つまり3G対応の端末が十分には普及していない)ということの裏返しだろう。また通信キャリアとしても、GSMの利用を出来る限り続けた方が、有り体に言えば儲かるし、3Gや次世代の技術方式に関する雌雄を見極めることができる、と考えているのだろう。

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