年末も差し迫ったところで、世界初の商用LTEサービスの開始というニュースが入ってきた。去る12月14日、スウェーデンの通信キャリアのテリアソネラ(TeliaSonera)は、スウェーデンのストックホルムとノルウェーのオスロで、LTEの商用サービスを開始したと発表した。
同社のプレスリリースによると、ストックホルムではエリクソンが、またオスロでは中国のHuawei(華為=ファーウエイ)が、それぞれ通信機器を納入した。また端末については、両地域とも韓国のサムスン電子が提供しているという。今後は機器の評価を進め、標準ベンダーの決定を2010年初冬までに行うとしている。
スウェーデンといえば、世界最大の通信機器ベンダーであり、LTEを牽引するリーダーでもあるエリクソンのお膝元である。LTEの商用化は、今年から来年にかけて、米国と欧州のどちらが先か、と噂されていただけに、まずはスウェーデン陣営の面目躍如といったところだろう。
LTEとGSM両方に手を伸ばす
一方でエリクソンは、LTEばかりに躍起になっているわけではない。同社は先月末、2G(第2世代)ケータイ規格であるGSM技術の資産を、カナダのノーテル・ネットワークスから7000万ドルで買い取ることを発表した。
3.9G(ないしは4G)と位置づけられるLTEから数えて2世代前の技術となるGSMは、1990年代初頭に登場したケータイ技術で、欧州を中心に世界の標準となった規格である。当時の日本では国産規格のPDCが採用され、GSMの不採用が日本のガラパゴス化の要因の1つとなった、と指摘されることもある。それほどまでに、実質的な世界標準となった規格だ。
しかし既に20年近くが経ち、日本を含め先進国の多くが3G技術にスイッチし始めている中、さすがのGSMも先進国においては「時代遅れ」と見なされつつある。発祥の地である欧州でも、欧州委員会が近い将来のGSM廃止を勧告した「GSM指令」を、既に加盟各国に提案しているというのは、前回触れた通り。
一方でGSMは、実は音声通話とメール程度であれば十分使い物になり、収穫期に入っている「枯れた技術」でもある。そのため「引退勧告」を受けつつも、欧州ではまだ現役であるし、また中国・インド・アフリカなどの新興国ではむしろ主流の規格となっている。
このGSMの、北米市場における技術と権益を、エリクソンが手に入れた。それはつまり、GSM自体は世界市場においては相変わらず「おいしい商売」であることを如実に物語っている。
もちろん、既に7月に先行してノーテル・ネットワークスと交わされていた、CDMAおよびLTEに関する資産取得の取引と、今回の取引が、何らかのセット関係にあるとは考えられる。今夏の取引が、11億3000万ドル、今回が7000万ドルで、合わせると12億ドルと「きれいな数字」になるのも、偶然の一致とは言えないだろう。
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1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事する。2007年1月に個人事務所を開設。現在は戦略立案や事業設計を中心としたコンサルティングや、経営戦略・資本政策などのアドバイス、また政府系プロジェクトの支援等を提供している。クロサカタツヤ事務所代表、株式会社企(くわだて)代表取締役。







