今回はテレビや雑誌などでも紹介され、目にする機会の増えてきた“立体プリンター”が切り拓く世界をご紹介します。「立体(三次元=3D)プリンター」と聞いて、「何それ?」と思う方もいらっしゃると思うので簡単にご説明いたしましょう。
例えば目の前にメロンがあります。それをカメラで撮って三次元データに変換し、特別なプリンターに送って
をクリックすると、数時間のうちに色や形や質感までそっくりそのままの立体コピーメロンが出力されるという魔法のような代物です。
この道具が導き出す可能性に早くから目をつけ、サブカルチャーの力を注入して日本の製造業を活性化させるパスを考える道先案内人、相馬達也氏に今回はお話を伺います。氏が事務局長を務める3D-GAN(3次元形状を活用する会)という組織は、3Dプリンターの使い方から使い道まで、啓蒙・普及を促す会員制の非営利組織です。

秋葉原UDXにあるオフィスは製作現場兼サロンとして使われており、会員が常時詰めて銘々のアイテムを検討しています。オフィスにはアニメキャラやら、機械部品、ジュエリーの原型、人骨見本から歯の詰め物まで多種多様な業界の試作品が転がっています。取材を始めると、偶然そこに居合わせた一人の造型作家を紹介されました。
「彼はデザイナーだったのですが、気づいたら“メーカー”になっていたんです」と紹介されたそのお方、金津鬼(KANETSUKI)氏が得意満面の笑顔で見せてくれたのは、小指大のお人形シリーズ「一寸フィギュア」です。箱にギッシリ並べられたお人形は、よく見ると1つずつ顔や仕草、服装や持ち物が異なっています(金津鬼氏のサイトはこちら)。
双六のようなボードゲームに用いるアイコンなのだそうで、愛好家の間では人気上昇中だとか。もともとはテーブルトークRPGという仮想空間ゲーム上のアバターでしたが、リアルに出てきたわけです。1体を1000円で売り出したところ、思いのほか受注が舞い込んで嬉しい悲鳴なのだそうです。量産用の金型まで起こして夢はどんどん広がる感じ。
以前は、CGデザインの孫請け外注みたいな仕事をされていた彼ですが、今では「リアル界」の「完成品」を企画・製造・販売するという身分になり、「毎日が充実しています」と顔に書いてありました。彼の設計室は自宅のPC、製造工場は冷蔵庫大の3Dプリンター1台、販売網はネットと行きつけのショップ、それで一連のバリューチェーンが完結した立派なメーカーとして成立しています。
プロシュ−マー化の流れがソフトの世界では当たり前になっています。口コミサイトからSNSなどCGM(Consumer Generated Media)の世界が花開いています。広義にオープンソースと言う意味ではOSのLinuxまで広がる「みんなで作る」世界です。そのウェブは、もはや2.0を卒業し3.0とも言われるクラウドの時代に移行中。「あちら側」が、あらゆる情報処理に関するリソースを縦横無尽に仮想化して流用しまくる3.0な段階に進化しつつある一方で、リアルのものづくりの世界は少し遅れて2.0が到来している段階です。
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