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2009年、変わり始めた通信キャリアの存在意義

ケータイ業界3大ニュースを振り返る

  • クロサカ タツヤ

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2009年12月24日(木)

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 2009年も残すところあとわずかとなった。本連載も年内は今回が最後となる。モバイル業界で世界最大のイベント「モバイルワールドコングレス」に顔を出したのがつい先日と思いきや、早くも次回のスペイン・バルセロナの宿を探す時期となった。正しく光陰矢のごとし。

 しかし今年に関しては、率直に言って師走という感覚が、筆者にはほとんどない。もとより動きの激しいケータイ業界ではあるが、ちょうど本連載を始めた今年半ば頃から、激動という言葉に相応しい動乱状態にある。そして恐るべきことに、来年はさらに激しさを増すことになるだろう。業界の末席にいる筆者自身も、大げさでなく、身構える思いだ。

 それでも年の瀬は、今年を振り返るのに、いい区切りではある。そこで筆者も通例に倣って、今年の気になったニュースを3つほどピックアップしてみた。とはいえ、もとより「玄人筋」にご好評をいただいている本連載ゆえ、ややマニアックな選考となっていることは、何卒ご了承いただきたい。

姿を変えた「ベンダー・ファイナンス」

 まずは「スウェーデンのエリクソンが、米国の携帯電話サービス大手スプリント・ネクステルのインフラを実質的に買収」というニュース。一見すると、日本とそれほど縁のなさそうな両社による北米市場での買収話に過ぎない。しかし、このニュースに触れた際にも指摘した通り、筆者はこの日本の将来的なケータイ産業の1つの姿を暗示している、と考えている。

 理由の1つはこの買収が、規格や技術の世代交代のタイミングで引き起こされているということ。前回触れた通り、次世代規格のLTEがいよいよ世界に先駆けて北欧でスタートしたが、現世代の3G(第3世代規格)にしてみても、HSDPAやHSUPA、またHSPA+など百花繚乱状態である。さらにモバイルWiMAXやウィルコムのXGPといった新規格も登場している。

 こうした技術が出揃いつつあるということは、通信キャリアからすれば、インフラの更新時期が迫っているということ。このインフラ更新は、採用する規格にもよるが、大抵は超大型の投資が必要となる。例えばLTEだと、控えめに出された数字と思わしき総務省への提出資料でも、NTTドコモで約3400億円、KDDIで約5200億円が見積もられている。技術特性を考慮すれば実際にはこの1.5~2倍程度がかかる可能性もあろう。

 この巨大な設備投資を、長くても2~3年の間に概ね完了させなければならない。しかもそのうえで、ユーザーがそのインフラで提供するサービスに追随してくれるかは、実際のところはやってみなければ分からない。こうした生死を賭けた“博打”に、先進国の通信キャリアは間もなく挑まなければならないのだ。

 この時、そもそも“博打”の挑戦権を得られるか否かが、まず問われることになる。日本を含めた各国の多くの通信キャリアは、自前の資金だけでは投資を賄いきれない。またややテクニカルな話だが、たとえ自前でなんとかなる場合でも、資本効率や資本コストといった企業財務の観点から考える限り、外部からの資金調達は大抵必要となる。となると、「調達できるか」という点が、実は大きく問われることになる。

 通信キャリアであるスプリント・ネクステルは、エリクソンというベンダーへのインフラ譲渡という形で、その解を見つけた。つまりサービスとインフラの「上下分離」である。これにより、インフラの自前投資を諦めたスプリント・ネクステルは、身軽になったことで顧客管理や販売・マーケティングに専念し、一方のエリクソンは、基地局や端末といった自社の製品を、事実上独占的に売り続けることができる。

 このニュースを聞いた時、これは姿を変えた「ベンダー・ファイナンス」だと筆者は思った。ベンダー・ファイナンスとは、文字通りベンダーがファイナンス機能をもって通信キャリアのインフラ整備を手伝う手法のこと。例えば、ベンダーが基地局をタダ同然でばらまく限り、端末やほかのサービス機能の商流を半ば独占的に取得し、そこでの売り上げによってインフラ投資の費用を回収する、というモデルである。

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