「Last Chance ――航空機産業の活路」

「バルチック艦隊」が取り持つFXの縁

白熱する戦闘機商戦、大本命に挑む欧米2社幹部に聞く(上)

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2010年1月6日(水)

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 日本の防衛省は今年、次期戦闘機(FX)を決定する見通しだ。

 ベトナム戦争の主力機であり、老朽化が目立つ「F4」が2014年以降に退役を迎えるためだ。日本のFX商戦ではこれまでも世界の防衛大手の激しい売り込みが続いてきた。今回は欧州勢も参戦し、先行きが見えない状況だ。

 防衛省は「世界最強の戦闘機」とされる米ロッキード・マーチンの「F22」を第1候補としてきた。しかし、昨年7月に生産の打ち切りが決定し、それがほぼ不可能になった。ただ、同じくステルス性能を持つロッキードの「F35」が大本命であることには変わりがない。

 だが、F35はこれまでのように三菱重工業など日本の航空機大手がライセンス生産するのは難しいとされる。国防機密と言える技術が数多く搭載されているからだ。そこが逆転受注を狙う欧州の英BAEシステムズと、米ボーイングにとって突破口になるかもしれない。

 来日した両社の幹部に聞いた。まずは欧州4カ国で共同開発した高性能機「ユーロファイター・タイフーン」を売り込む英BAEシステムズのアンディ・レイサム副社長だ。レイサム副社長によれば、「我々と日本との関係は100年前にさかのぼる。ロシアのバルチック艦隊を撃破した日本海軍の旗艦である『三笠』を建造したのは我々の造船所なのだから」と意外な盟友関係をアピールしている。

(聞き手は佐藤紀泰=日経ビジネス編集委員)
日本への営業責任者である英BAEシステムズのアンディ・レイサム副社長
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 ―― 日米同盟関係を考えれば、日本の防衛省が欧州から防衛力の柱である戦闘機を調達するとは思えないのですが。

 レイサム 普通に考えれば、そうかもしれません。私が5年前に日本にタイフーンを売りに来た時も、「あなたは正気なのか。頭がおかしいのではないか」などと言われたものでした。

 それはそうでしょう。日本が欧州の戦闘機を購入するなんて、誰も思っていなかった。最初は自信喪失になって落ち込みました。ですが、防衛省や日本の産業界の方々に説明していく中で、タイフーンの良さも少しずつ理解して頂けるようになったと思います。

技術のオープンさが日本にとって最大の利点

 ―― タイフーンでは日本のライセンス生産はもちろん、重要な技術を供与することを最大のアピールポイントにしていますね。

 レイサム 日本にとってタイフーンを購入する場合の最大の利点は技術のオープンさです。戦闘機にとって最も重要であるソフトウエアのソースコードも出します。これが意味することは大きいのです。

 なぜなら、日本の防衛省は、使いやすいようにタイフーンを改良できるからです。日本は当然、これまで開発してきた国産のミサイルを搭載したいはず。であれば、ソースコードを使い、国産ミサイルを搭載、発射する制御ソフトなどを作ることができます。

 はっきり言えば、ロッキードのF35ではソースコードを公開しません。英国はF35の開発プロジェクトに20億ドル(約1800億円)も負担していますが、昨年11月にソースコードを供与しないと言われました。日本がF35の採用を決めても、重要な技術を得ることは難しいでしょう。

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Last Chance ――航空機産業の活路

日本はこれまで何度も世界の航空機市場に挑みながら、挫折と屈辱を味わってきた。中国など新興国が台頭し、世界競争が一段と激化していく中で、二度と失敗は許されない。「最後のチャンス」に賭ける、日本の航空機産業の戦いを報告する。

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