「Last Chance ――航空機産業の活路」

そう、プロペラエンジンの復活なのだ

航空機エンジンで半世紀ぶりの技術転換

バックナンバー

2010年1月14日(木)

1/4ページ

印刷ページ

 航空機エンジンにおいて、ほぼ半世紀ぶりとも言える大きな技術転換が始まろうとしている。英ロールス・ロイスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)という世界大手2社が次世代エンジンの柱とする「オープンローター」だ。

 まずは下のイラスト図を見ていただこう。そう、プロペラエンジンの復活なのである。もちろん、第2次世界大戦前に主流だったピストン式のレシプロエンジンではなく、ジェットエンジンだが、機体に推進力をもたらすのは外に置いたプロペラの回転だ。

オープンローターのイメージ
画像のクリックで拡大表示

 現在、民間機では大型のケースの中のファンを回転させて空気を吸い込んで、空を飛んでいる。それをオープンローターにすれば、ケースなどをなくし、大幅に軽量化することができる。これが最大の特徴だ。

 2020年以降に登場する見込みで、これまでの既存エンジンに比べて一挙に2割以上の燃費改善への道を開く「夢の技術」とされる。

 日本の航空機エンジンではIHIに次いで2 位の川崎重工業は、オープンローター時代の基幹部品を自社に取り込むため、早くも研究開発に本腰を入れている。同社の衣斐正宏・執行役員(航空機エンジン事業担当)に聞いた。

(聞き手は佐藤紀泰=日経ビジネス編集委員)

 ―― 航空機業界で次世代エンジンとして「オープンローター」が注目を集めています。川崎重工も中核部品である特殊ギアの研究開発に力を入れていますね。

 衣斐 オープンローターの時代になれば、「ギア技術」が非常に重要になります。実は航空機ではギアと言うのですが、我々の強みであるヘリコプターのエンジンではトランスミッションという言葉を使います。

特殊ギアで、生産担当シェアを拡大

 衣斐 2つは技術的には同じです。エンジンの駆動力を使って、オープンローターならプロペラを、ヘリコプターならブレードを回転させるのです。

 川崎重工ではヘリのトランスミッションでは世界的にも技術が高く評価されてきました。その技術を民間旅客機のエンジン分野でも転用できるということなのです。

 ―― オープンローターの特殊ギアは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

 衣斐 一般的には「遊星ギア」と呼ばれています。簡単に言えば、太陽系の太陽のように中心にギアがあり、その周辺に4つ、ないし5つのギアが組み合わされ、さらに外側にリングギアというものがあります。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント4 件(コメントを読む)
トラックバック


このコラムについて

Last Chance ――航空機産業の活路

日本はこれまで何度も世界の航空機市場に挑みながら、挫折と屈辱を味わってきた。中国など新興国が台頭し、世界競争が一段と激化していく中で、二度と失敗は許されない。「最後のチャンス」に賭ける、日本の航空機産業の戦いを報告する。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン