「踏ん張る! 日本の技術者たち」

トイレの脱臭から始まる環境浄化

TOTO「光触媒の基本技術」(その1)

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2010年1月13日(水)

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 外壁に塗装するだけで、手入れの負担をかけずに、菌やカビ、汚れや悪臭などを防ぎ、建物の外観をいつまでもきれいに保つ。しかも、酸性雨や光化学スモッグの原因となり、森林破壊や健康被害を引き起こす空気中のNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)などの大気汚染物質を活性酸素で分解し、浄化して、地球環境の保全にも役立つ――。

 そんな夢のような技術が実用化されている。

 TOTOが昨年から世界戦略の主軸商品として打ち出している「HYDROTECT(ハイドロテクト)」だ。

10年以上前の技術が脚光を浴びる

 ハイドロテクトはTOTO光触媒技術が採用されたタイルや塗装などの総称技術ブランド名で、この光触媒作用が持つ2つの特性を利用して、前述のような効果を得るのだという。

 1つは光触媒の「親水性」。

 塗料やタイル表面に含まれる光触媒の酸化チタンに太陽光などの光が当たると、チタン(Ti)と空気中の水(H2O)が反応し、その表面に水と非常に馴染みがよい「親水基(-OH)」の膜ができる。この水の膜によりセルフクリーニング(自浄)作用が得られる。

 では、なぜ水と馴染むと汚れが落とせるのか。

 TOTOハイドロテクト事業部ハイドロテクト事業統括部事業企画グループ特許主査の早川信が説明する。

 「親水性だと、汚れと水をどっちをつけやすいかというと、水の方が馴染むわけですよ。汚れと表面の間に水が入り込んでくれるようなイメージになるんです」

 この親水性により、静電気によるチリやホコリの吸着を抑える。外壁の場合、雨水が汚れの下に入り込むために、汚れを浮かせて、そのまま洗い流してくれるわけだ。

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 もう1つは光触媒の「分解力」。

 酸化チタンに光が当たると、空気中の水(H2O)や酸素(O2)と反応し、活性酸素(O2-および・OH)を表面に発生させる。この活性酸素が様々な有機物や菌を分解するのである。

 この「分解力」は、抗菌、抗カビ、防汚、防臭だけでなく、大気中の有害物質であるNOxを硝酸イオンに、SOxを硫酸イオンに分解する。それぞれのイオンは、雨に流されると、土壌中で植物の肥料となる。

 TOTOの試算によれば、例えば一軒家(200平方メートル)を光触媒塗料「ハイドロテクトカラーコートECO-EX」に塗り替えると、大気浄化能力が最も高い植物の1つと言われているポプラの木19本分の空気浄化効果が得られるという。

 個人の快適な暮らしにも、地球環境の保全にも役立つハイドロテクトは、2017年のTOTO創立100周年に向けての事業計画の核となっている。2009年4月1日にTOTOの社長執行役員に就任した張本邦雄の「ハイドロテクト事業をグローバル展開していこう」という号令の下、TOTOが積極的に取り組む世界戦略の中心商品として位置づけられたのだ。

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著者プロフィール

佐保 圭(さほ・けい)氏

フリーライター。1964年6月、兵庫県生まれ。88年3月、早稲田大学第一文学部卒業後、数々の仕事に就き、93年2月、フリーライターとなる。「日経ビジネス」「日経エコロジー」(いずれも日経BP社)、「大人の科学」(学習研究社)などで執筆。企業経営や環境、サイエンスなど幅広い分野で活躍している。



このコラムについて

踏ん張る! 日本の技術者たち

日経BP社は、日本の技術発展に寄与する目的で1991年に「日経BP技術賞」を創設した。表彰対象は、電子、情報通信、機械システム、建設、医療・バイオ、エコロジーと広範にわたる。社会と産業に貢献する技術や製品が、どのように作られ、世に送り出されてきたのか。技術者の生の声を通じて、日本企業の技術力の源泉を探っていく。

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