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“大失敗”から生まれた地球環境の保全技術

TOTO「光触媒の基本技術」(その2)

2010年1月20日(水)

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前回のあらすじ

 光触媒作用で、床や壁の汚れを防いだり、活性酸素の働きで空気を浄化したりする機能を持つTOTOのハイドロテクト。環境問題が深刻化する中で、今後の普及が見込まれる技術だが、この発見には、“大失敗”と思われた出来事があった。

 太陽光によりシリコンバインダーの撥水効果が劣化しないかを実験していた研究者が1994年11月に入院してしまい、光触媒は太陽光替わりのランプに照らされたまま――。

TOTOハイドロテクト事業部ハイドロテクト技術開発部技術開発グループの亀島順次グループリーダー(左)とハイドロテクト事業部ハイドロテクト事業統括部事業企画グループの早川信特許主査(写真:佐保 圭、以下同)

 彼が退院してくる翌年2月まで放置されていた間、早川信(現在はTOTOハイドロテクト事業部ハイドロテクト事業統括部事業企画グループ特許主査)ら残りの3人の研究者たちは、別の研究テーマに取り組んでいた。

 「同時並行で進めていた研究テーマは、お風呂の汽水線に水垢がつくのを改善する表面改質技術でした。光触媒とオーバーラップするところがありますが、『汚れを落としやすくする』のが光触媒のテーマで、表面をコーティングして『汚れをつきにくくする』のが表面改質のテーマでした」(早川)。

撥水性か、親水性か

 ペイントメーカー各社にヒアリングしていた早川らは、意外な情報を耳にすることになる。汚れをつきにくくするためには撥水した方がいいと考えがちが、事実はその逆だったのである。

 「あるフッ素樹脂を使ったペイントメーカーさんが総ガラス貼りのビルにフッ素コートをやったら、かえって黒い雨筋汚れがバシバシついて大クレームになったという話がありました。『だから、お風呂みたいに水と一緒に使うところについては、撥水はダメ、親水の方がいいんですよ』という情報でした。親水性だと、水が汚れと表面の間に入り込んでくれる。撥水だと、逆に水が汚れを運んできちゃうんですね」(早川)。

 ペイントメーカーからの様々な情報を統合して、3人の研究者が「汚れをつきにくくするには、どうやら『撥水』ではなく『親水』の方がいいらしい」という結論に達した頃、緊急入院していた研究者が退院し、4カ月ぶりに研究所に復帰してきた。

 戻ってきた彼が一番心配していたのは、「バインダーが太陽光替わりのランプの紫外線でダメになっていないか」ということだった。

 彼はまず最初に、バインダーの性能の1つである「汚れをはじくための撥水性」がちゃんと保たれているかどうかについて試した。

 水をかけると、バインダーは、はじくどころか、べしゃっと全体が濡れてしまった。

 失敗だ・・・彼はがっくりと肩を落とした。

 「光触媒の超親水性」という大発見の瞬間だった。

 彼がひどく落胆しているのに気づき、集まってきた3人の研究者は、みな、我が目を疑った。

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