世界の航空機産業はこれから大動乱期を迎える。中国など新興国の追い上げにより、下手をすれば、日本が埋没してしまう可能性すらある。
歴史を振り返れば、民間旅客機、戦闘機、そして航空機エンジンも欧米の大手が市場を完全に制圧してきた。日本の航空機産業はこうした欧米大手の庇護の下で事業を拡大してきたが、その路線だけでは成長の壁にぶつかりかねない。
今こそ、遠い将来をにらんだ成長への布石を打つことができるのか。日本の航空機産業大手3社である三菱重工業、川崎重工業、IHIの事業部門トップに激戦の世界市場を勝ち抜くための戦略を聞いた。
川井昭陽・三菱重工業常務(航空・宇宙事業本部長)
MRJの成否、ファイナンス力がカギ
―― 三菱重工にとって、MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)事業の成否が将来を大きく左右します。リスクが非常に大きなプロジェクトですが、どのように見ておられますか。
川井 MRJはまだ、「ペーパー・プレーン(図面上の飛行機)」であり、少しでも早く実機を作って飛ばさないとなりません。政府支援によって開発費の3分の1(約500億円)の支援もありますし、開発を順調に進めていく必要があります。
ただ、機体は開発できても、これを売っていくことは非常に難しい。顧客である航空会社への金融サービスやアフターサービス体制の整備も課題です。
そもそも、航空機ビジネスにおいて、機体の開発や製造というのは事業のほんの一部に過ぎないのです。そこを理解しないと、大変なことになってしまう。
中古機の相場まで目を配る必要がある
―― 特に金融サービスでは非常に大きなリスクを抱えることになりかねません。1機30億円で、100機受注すれば、3000億円ぐらいの融資を保証していく必要がありますね。
川井 MRJの融資保証については日本貿易保険が担当してくれることになっています。三菱重工がこれをやれるわけではないので。
ただ、すべての融資保証ができるわけではない。これについては政府の支援を期待したいところです。
もし、受注を頂いた顧客の航空会社が経営破たんするような事態になれば、これは三菱重工にとっては大きなダメージになりますから。航空機事業は複雑です。中古機の価格を下がらないようにするなど、様々なところに目を配る必要があります。
―― 三菱重工にとっては戦闘機「F2」の生産が2011年度でなくなることは大きな痛手になりますが。
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