新聞や雑誌には「もはや消費することは時代遅れ」といった記事があふれ、書店には「クルマ買うなんてバカじゃないの?」という刺激的な帯のついた本が並び、高級海外ブランドの日本撤退のニュースも珍しくなく、見わたせば「消費」は「デフレ」「節約」「巣ごもり」の陰にかくれてしまったようにも見えます。
しかし、果たしてそれは本当でしょうか?
まったくの出鱈目というつもりは毛頭ありませんが、事実以上に、「そうしたニュースが欲しい」と感じる空気が今の世の中にあるのではないでしょうか。
それは「消費は時代遅れだ」という情報=「商品」への需要であり、それに対して情報という商材の供給者であるメディアはビジネスチャンスを逃さず、しっかり対応している。そうした部分を割り引いて考えないと、少なくともビジネスにおいては非常に危険だと思います。
テキサスバーガー、発売開始4日で予定の2.2倍の売り上げ
「草食化する若者は、節約に励みながら、環境や健康に気をつかい、贅沢よりも心地よい暮らしをのぞんでいる」といった分析もよく見かけます。
しかし、実際には、こうした見立ての真逆を行くようなヒット商品も生まれています。
たとえば、マクドナルドが、「ビッグアメリカ」というキャンペーン名でスタートさせた期間限定バーガーの第1弾、テキサスバーガー。通常の2.5倍のビーフパティを使い、ハンバーガーの王道であるビーフを主役に本場アメリカのテイストを楽しめる、と謳った420円の商品です。
けっして安くはない、また低カロリーでもない、ましてや草食ではないこの商品は、Twitterやブログでみんなが話題にし、店頭でも飛ぶように売れています。発売開始の1月15日からの4日間で予定の2.2倍を販売し、1月17日には日本マクドナルドが創業以来の1日全店売り上げの最高記録である28億1180万円を達成する大きな原動力となり、1月20日から数量限定での販売に切り替わることになったのです。
何を隠そう、この私も1月17日の28億円1180万円の新記録に貢献した一人です。
やはり前週からのウェブ上での話題っぷりも気になっていましたし、新聞の折り込みチラシにも、「ビッグアメリカかぁ」と、ココロがかきたてられるものがありました。
もっとも日頃はBMI22を目指してダイエットを頑張りましょう、と言われている身ですから、朝のスポーツクラブで、自転車をこいで、トレッドミルで走って、カロリーを十分に「消費」してから、マクドナルドへ向かいました。はたして、ドライブスルーは10台以上のクルマが(これはテキサスバーガー以上にドライブスルー限定のお得なパック商品の影響と思われます)、店内もぎっしりの人が、行列を作っていました。「これは想像以上にすごいことになってるなぁ」と思いながら、テキサスバーガーとポテトを平らげました。
週末明けの会社でも「三軒茶屋のマックでは完売で買えませんでした」といった、各所での売れ行きが話題になり、ネット上でも実際に食べてみての感想をブログやTwitterでたくさん見かけることになりました。
なぜ、テキサスバーガーがこれほど売れたのか?
私は世に言うバブル世代なのかしらん。でも恩恵は受けた気がしないし、浪費を美徳とも快楽とも思ってない。地方だから必要な車も昔から安く永くポンコツにまで乗りつぶす。ユニクロに行っても何も買わないで帰ってくるくらいの分別はあるし、ブランド物にステータスを感じる心は無い。外での飲食は残飯・調理ゴミが大量に出るから、心地よくない。かと言って他人からは??な趣味には金に糸目はつけない。「いまどきの若者」の冷めた消費行動?を30年前から取っていますが、だからと言ってロハス!ロハス!とはしゃぐ初老の輩にもちょっと付いていけない。世代やブームで決めつけるのもマスコミのお仕着せ。結局最終的には個人個人の問題でしょう。一人一人が他人と違っていても異端視しない・されない許容度が広まってきただけだと思います。私は昔は変な人でしたが、今じゃフツーです。(2010/01/29)