グーグルが、中国政府による検索サービスへの検閲を「これ以上受け入れ続けるつもりはない」とし、中国市場からの撤退も検討すると発表して以来、中国、アメリカ、両政府を巻き込んでの大きな議論になっています。
グーグルといえば、その社是に「Do no Evil」(邪悪なことはしない)と掲げていながら、これまで中国政府による検閲を受け入れてきたことから、「グーグルの中国での対応は、自らのモットーに反しているのではないか?」という声が常にありました。
そうした声に対してグーグルは今回、それが目的ということではなく副産物としてかもしれませんが、結果的に「我々にとって、Do no Evilは単なるスローガンではなく、リアルである」と証明することになりました。
グーグルにとって「Do no Evil」がクリティカルである理由
もちろん、成長を続ける中国市場からの撤退ということになれば、創業以来一貫して成長を続けるグーグルにとっても大きな機会損失であることは間違いありません。また、「どうせ検索サービスでは中国首位の『百度』には勝てないから、ひらきなおったんだ」という見方もありますね。
しかし今回のことで、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて、使えるようにすること」をミッションと掲げるグーグルが、自分たちの「Do no Evil」という姿勢を、世界中の人々から理解してもらうことになったのは、非常に価値のあることです。
「道に迷わなくて便利!」という声もある一方で「プライバシーの侵害だ!」という批判を受けることも多い、グーグル・ストリートビューや、「人類の知のデータベースとなる野心的な取り組み」という声と「著者や出版社を無視した複製」という声の両方があるグーグル・ブックサーチなど。グーグルのサービスには、革新的な魅力と同時に「ジョージ・オーウェルが描いたビッグブラザーとは、グーグルのことだったのか」といった警戒感を人々に抱かせるものが少なくありません。
そうした反応は、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて、使えるようにする」という目的遂行の中で、ある程度は受け止めなければならないことだとしても、今後もさまざまな野心的な取り組みを推進してくために、大多数からは「グーグルは、Do no Evilである」とあらためて理解してもらう必要があったと思います。
グーグルのCEOエリック・シュミットはニューズウィーク誌のインタビューで「我々は、今までの会社とは違う。常にビジネス最優先で行動するとは限らないと、2004年の株式公開の時にも投資家に向けて説明している」と、答えています。
今回のグーグルの決断と発表は、グーグルへの投資家に留まらず、多くの人に「グーグルは、今までの会社とは違う」というメッセージを伝達することになりました。
アメリカの報道機関の記事や個人のブログ、Twitterでの発言などを見ていると、概ねアメリカの人々が今回のグーグルの方針を支持しているのがわかります。
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