「Web2.0(笑)の広告学」

本日は広告料金世界一、「スーパーボウルCM」の日、です。

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2010年2月8日(月)

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 全米プロフットボールNo.1を決める試合であると同時に、CM媒体として1秒あたりの価格が世界でもっとも高いイベント、スーパーボウルの日がやってきました。いつもは火曜日配信の当コラムですが、今週は特別に、時差の関係でスーパーボウル開催日となる月曜日にお届けします。

 といっても、実際に流れるCMは、基本的に事前に見ることができるわけではないので、CM自体の論評ではありません。ただ、今年のスーパーボウルCMの話題の中心は、むしろ試合前にあります。どこが広告を出稿して、逆にどこが出稿をやめたか。今週は、この「世界一の広告枠」を巡る話題から見えてくる、広告コミュニケーションの現在位置について、考えてみたいと思います。

ペプシのいないスーパーボウル

 今年の最大の話題は、「ペプシがいない」ということでしょう。

 長年、このイベントで話題のCMを流し続けてきた、ソフトドリンク業界のメガブランド、ペプシは「スーパーボウル中継枠でのCMを2010年はやらない」と昨年のうちに発表しました。そのかわりに、ウェブサイト上で「社会をリフレッシュするようなアイデア」を広く募集し、みんなの投票で選ばれたプロジェクトへ資金を提供する、「ペプシ・リフレッシュ・プロジェクト」に予算を配分するのです。

 これについては「ライバルのコカコーラにとっての大きなチャンスであり、ペプシは大きなリスクをとった」という見方と、「これからの時代の企業の社会とのコミュニケーションのありかたを示唆する野心的な取り組み」として高く評価する声の両方があります。

 ペプシといえば、1980年代において、マイケル・ジャクソンをフィーチャーして、「新しい世代の選択(The Choice of a new generation.)」をキャッチフレーズに大規模な広告宣伝を行い、ライバルのコカコーラの牙城を切り崩していきました(この時代のマーケティング合戦を描いた『コーラ戦争に勝った!』は、実に面白い読み物です)。

 そうしたマスマーケティングのインパクトと効果を知り尽くしたブランドが、スーパーボウルCMから撤退する、それこそが21世紀の「新しい世代の選択」なのか? と大勢の注目を集めているのです。

 いわゆる「コーズ・マーケティング(Cause Marketing)」あるいは、社会貢献型マーケティングに対しては、その実効性を含めいろいろな見方があるのは事実です。しかし、私は、今回のペプシに関しては、スーパーボウルCM放送から撤退する、という話題の盛り上がりだけで、既にかなりのブランドとしての「広告効果」があったのではないかと思います。事実、ブログやTwitterなどのソーシャルメディア上での消費者からの反応は、ペプシの今回の方針に対し好意的なものが目立ち、ネガティブな意見はほとんどありません。

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著者プロフィール

スダシン(須田 伸 すだ・しん)

須田 伸

サイバーエージェント ネットトレンド研究室長/コミュニケーションディレクター。1992年株式会社博報堂入社。CMプランナー/コピーライターとして「ACC賞」「日経広告賞」「消費者のためになった広告コンクール」などの広告賞を受賞。 1998年カンヌ国際広告祭ヤングクリエイティブ・コンペティションに日本代表コピーライターとして出場。2000年にYahoo! Japanに転じてコミュニティサービス担当プロデューサーとして「ヤフー・チャット」を立ちあげ「ライブチャットイベント」では初代「Y! Chat MC」として活躍。2002年より株式会社サイバーエージェントに勤務。同社の企業ブランドを一新する。現在は同社ネットトレンド研究室長。ブログとインターネット広告に関する著書として『時代はブログる!』(アメーバブックス)がある 。「サイバーエージェント/アメーバ」は、2008年度グッドデザイン賞を受賞。



このコラムについて

Web2.0(笑)の広告学

ブログやSNSのように、普通の人がインターネットで気軽に情報を発信するようになったことが「Web2.0」という流行語(バズワード)を生みました。Web2.0の切り口には、技術も、商売も、哲学もありますが、このコラムでは、基本的に「広告」という視点で考えていきます。筆者はテレビ広告業界を経験後、サイバーエージェントに転じ、ネット広告の世界で活躍している須田 伸氏です。

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