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「人と同じことをしない」から、世界初が生まれる

住田光学ガラス「青色半導体レーザーと光ファイバーを利用した白色光源」(その1)

2010年2月10日(水)

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 2006年、資本金が4900万円で社員数は350人、売上高は100億円にも満たない中小企業が画期的な技術を開発した。それが、翌2007年、第17回日経BP技術賞電子・情報家電部門で表彰された住田光学ガラス(さいたま市)の「青色半導体レーザーと光ファイバーを利用した白色光源」だ。

 この技術は、1本の光ファイバーに青色半導体レーザーを通すことで、緑色レーザーと赤色レーザーを同時発振させ、光の3原色であるRGB(Red=赤、Green=緑、Blue=青)を作り出して白色光を実現するというものだ。これが優れていると評価の対象になったポイントは大きく2つある。

敵陣に一番乗りした創業者

 まずは、色再現性の高さだ。当時のCRTディスプレーや液晶ディスプレー、プラズマディスプレー、超高圧水銀ランプなどを使用したプロジェクターよりも、より自然色に近い。例えば、光の色を平面座標で示したCIE色度図でCRTディスプレー(点線)と比較すると、下図のようになる。色再現域が広いことが分かるだろう。

住田光学ガラスが開発した白色光源による色再現性とCRTディスプレーを比較したCIE色度図(出典:住田光学ガラス)
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 このカギとなったのが、522ナノメートル(ナノは10億分の1)という波長の緑色レーザーの実現だった。当時、赤色半導体レーザー素子も青色半導体レーザー素子も既に実用化されていたが、緑色半導体レーザー素子がまだ開発されていなかった。

 だから、緑色レーザーは、特殊な方法で赤色レーザーから作るしか手がなかった。ただし、これでできるのは、赤色レーザーの波長1064ナノメートルの半分である532ナノメートルの緑色レーザー。色再現効果が高い緑色レーザーの理想的な波長は520ナノメートルであり、これに近い522ナノメートルの波長を持つ住田光学ガラスの緑色レーザーは、より鮮やかな緑や白を再現できるというわけだ。

 もう1つは、装置の小型化だ。従来はRGBそれぞれのレーザーを組み合わせて白色光を作り出すため、装置が大がかりになってしまい、コストパフォーマンスが悪かった。住田光学ガラスの白色光に必要なのは、1本の光ファイバーと青色半導体レーザーだけ。このため、構造がシンプルで、非常に小さくて済む。

 つまり、自然色に近い色再現性を発揮し、さらにコストパフォーマンスの高いディスプレーの製作が可能となる。それだけに、この分野に携わる技術者たちの関心を集めたのは言うまでもない。

 これほどの技術力を持つ住田光学ガラスとは、一体どんな会社なのか。「ほかではやらないことに取り組むDNA(遺伝子)を持っているんですよ」と、社長の住田利明は創業者のエピソードを教えてくれた。

 戦争に出兵して、ある作戦で敵陣目指して一斉に突撃したところ、大勢で固まって突撃した仲間の兵士たちは狙い撃ちされてしまった。しかし、「人と同じことはしない」というのが信条の創業者は、機転を利かせ、あえて群衆から距離を置いて行動した。

 敵の攻撃で多くの兵士たちが倒れ、隊全体が壊滅的な打撃を受ける中、それでも創業者は愚直なまでに独り進撃を続けた。結局は、敵陣に一番乗りしたというのである。

 「目的達成まで諦めない」という愚直さと、「状況に応じて判断する」という機転。この2つがあっての成果だった。

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