「経営の情識」

システム管理者は“復讐”する

止められるのは経営者、「お疲れ様」と思っているか

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2010年2月12日(金)

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 「ああ。またプロの犯罪が――」

 1月29日金曜日、帰宅して日本経済新聞の夕刊を眺めた時、こうつぶやきたくなった。

元勤務先のサーバーに不正アクセス

 夕刊に載っていたのは、『昔の勤務先に不正接続容疑 警視庁、男を逮捕』という見出しの小さな記事である。読んでみると、警視庁ハイテク犯罪対策総合センターが不正アクセス禁止法違反や電子計算機損壊等業務妨害の疑いで39歳の会社員を逮捕した、とある。

 容疑者は以前勤務していた企業のサーバー(コンピューター)に、自宅のパソコンから不正にアクセス(侵入)し、サーバーの中にあったファイル(データを入れておくところ)を2万件あまり勝手に削除し、古巣の業務を妨害したらしい。

 日経ビジネスオンラインの読者の方々は、「ハイテク犯罪対策総合センター」という組織があること、そのセンターが「不正アクセス禁止法違反」や「電子計算機損壊等業務妨害」という、ものものしい名称で呼ばれる行為をした容疑者をしっかり逮捕してしまうこと、に感心されるかもしれない。

 だが、筆者の関心はそこにはなく、もっぱら容疑者の動機にあった。日経夕刊によると容疑者は「担当業務への評価が低く恨みがあった。どれだけ大変な仕事か分からせようと思い、怒りに任せてやった」と供述したそうだ。

「どれだけ大変な仕事か分かってほしい」

 容疑者はもともと、この企業でシステム管理者を務めていたが、昨年9月末に退職、その直後の10月から、不正アクセスを繰り返していたという。

 9月末の退職に至るまで、その企業の中で実際にどのような経緯があったのかは不明だが、仮に理不尽な扱いをされたのだとしても、「恨み」から「怒りに任せ」、情報システムという自分の専門領域で違法行為をしてはプロフェッショナルとは呼べない。

 そもそも、管理者が退職してすぐにコンピューターの調子がおかしくなったら、ハイテク犯罪対策総合センターでなくても元管理者を疑うだろう。

 とはいえ、「大変な仕事」なのに「評価が低く」、なんとかして「分からせようと」という下りを読むと、冒頭に書いた通りで、「ああ…」とつぶやきたくなってしまう。残念なことだが、システム管理者の仕事に対する世間の理解はまだまだと言えるからだ。

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著者プロフィール

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所研究員、コンピュータ・ネットワーク局編集委員。1985年に記者となって以来、情報システム関連のテーマを取材し続けている。関わった媒体は「日経コンピュータ」「日経ウオッチャーIBM版」「日経ビズテック」「日経ビジネス」「経営とIT」など。「ビジネスとテクノロジーの一体化」に最大の関心を寄せる。

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