「クロサカタツヤのケータイ産業解体新書」

“静けさ”が逆に気になる中国勢

世界最大規模の携帯電話展示会の現場から

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2010年2月19日(金)

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 スペイン・バルセロナで開催されているケータイ産業の世界的な展示会「モバイル・ワールド・コングレス(Mobile World Congress、以下MWC)に、昨年に引き続いて来ている。このタイミングに合わせて各社が新製品や新戦略を多く発表することから、報道を通じてご存じの方も多いだろう。

 一方、通信キャリア、ハードウエアやソフトウェアのベンダー、コンテンツ事業者など、およそケータイ産業に関係すると思わしき世界中の事業者が一同に介するMWCは、さながら業界関係者の同窓会のような趣さえもある。実際、筆者も、特に海外の関係者から「バルセロナで会おう」というお誘いを受けて、年度末の多忙を縫って毎度飛んできている。

 それでも今回は、日本での業務の都合上、今週の水曜日から会場入りというスケジュールとなった。月曜日から木曜日までが会期となる展示会は、MWCに限らず一般的に、月曜日と火曜日に記者発表などが集中し、盛り上がりの最高潮を迎えることが多い。ただそうしたレポートは既に新聞やウェブメディアにも多く掲載されているので、本連載は逆に祭りの後の「引きの視線」からMWCと世界のケータイ産業の動向をレポートしたい。

高まるスマートフォンへの期待

 会場や講演の様子を俯瞰した第一印象は、「ケータイのプラットフォームを巡る、通信キャリア、ベンダー、プラットフォーム事業者の“三国志”が、いよいよ始まった」ということである。

 実際には昨年のMWCから既に気配は漂っていたのだが、今年は端末やソフトウエアベンダーからOS(基本ソフト)やプラットフォームの提案が目立ち、米アップルや米グーグルといったプラットフォーム事業者、あるいは従来その役割を担っていた通信キャリアに対して、改めて宣戦布告する印象を受けた。

 もちろん、三国志が様々なドラマを生んだように、利害対立の構造や競争環境は単純ではない。例えば今回発表された「ホールセール・アプリケーションズ・コミュニティ」は、新興国を含めた世界中の主要な通信事業者とベンダーが参画し、世界最大の共通モバイルアプリケーション・マーケットの設立を目指しており、日本からもNTTドコモとソフトバンクモバイルが加盟している。一方で独自のプラットフォームを模索しながら、もう片方では通信キャリアとベンダーが手を組むという姿が、あちこちで見受けられるのである。

 そうした取り組みの中で、多くの事業者から示された共通のキーワードとして浮かび上がっていたのが、「エコシステム(生態系)」である。これもケータイ産業の中では古くから使われてきたキーワードであり、本連載でも幾度となく触れてきたが、今回各社とも明確に「エコシステムの構築と保全を目指す」ことをメッセージとして連呼していた。

今回、新スマートフォンを発表した韓国サムスン電子をはじめ、出展各社は「エコシステム」を打ち出していた(写真:クロサカ タツヤ、以下同)
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著者プロフィール

クロサカ タツヤ(くろさか・たつや)

クロサカ タツヤ 1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修士課程修了。学生時代からネットビジネスの企画設計を手がけ、卒業後は三菱総合研究所にて情報通信事業のコンサルティング、IPv6やRFIDなど次世代技術の推進、国内外の政策調査・推進プロジェクトに従事する。2007年1月に個人事務所を開設。現在は戦略立案や事業設計を中心としたコンサルティングや、経営戦略・資本政策などのアドバイス、また政府系プロジェクトの支援等を提供している。クロサカタツヤ事務所代表、株式会社企(くわだて)代表取締役。



このコラムについて

クロサカタツヤのケータイ産業解体新書

19世紀がヒトとモノ(物質)、20世紀がマネー(金融)のエコノミーだとしたら、21世紀は何か。この質問に対する、有力解の1つは「ビット(情報)のエコノミー」だろう。現実に、中南米やアフリカを視野に入れたケータイの普及という形で、ビット・エコノミーを構築しようと国や企業が動き始めている。「ガラパゴス」日本にチャンスはあるのか。世界で思惑がうごめくケータイ産業の最前線を描く。

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