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電気自動車は、「家庭の電力貯蔵装置」になる

単なる乗り物ではない、その「蓄電」能力をフル活用せよ

  • 宮田 秀明

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2010年4月2日(金)

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 今年12月に日本で発売される日産自動車の電気自動車「リーフ」は、補助金を受ければ実質299万円となり、電気自動車普及への足がかりとなりそうだ。また、12月以降に発売される米国では政府からの税控除を差し引くと、実質的に2万5000ドル強で購入できるという。三菱自動車も「i-MiEV(アイ・ミーブ)」を大幅値下げし、実質284万円まで下がった。

 普及の時代到来を告げたとも言える電気自動車だが、その機能は、これまでの自動車とは大きく違うものになる。なぜなら、“2つの役割”を演じさせることができるからだ。「自動車」としての役割と、「家庭の電力貯蔵装置」としての役割である。

 電気自動車の充電容量は1家庭の消費電力の2日分ぐらいになるから、電気自動車を購入した人は家庭で低速充電するだけではもったいない。だからV to H(Vehicle to House)やV to G(Vehicle to Grid)のように、電気自動車の蓄電機能を家庭の電力需要の平滑化や系統電力事業者とのWin-Win関係を築くための有力な道具にすることもできる。

 天候次第の気まぐれな太陽光発電と組み合わせると、電力事業者にはうれしくない逆潮流を行わなくて済むだろうし、電気を貯蔵することによって自然エネルギー発電による電力の供給を制御できることは、発電コストを下げることにもなる。おまけに太陽電池と電気自動車用リチウムイオン電池の価格低下は誰もが予測することだから、太陽電池とリチウムイオン電池を組み合わせたシステムの発電コストは、現在の系統電力事業者のものと急接近するだろう。

 このことは別の見方をすれば、スマートグリッドと呼ばれる知能化電力社会システムの有力プレーヤーとして、風力発電、太陽光発電、バイオマス発電に加えて、二次電池となる電気自動車が入ることになる。

新しい社会システムの設計を、世界各国が競い合っている

 既存の電力事業の中に、これらをいかにスマートに組み合わせて電力社会システムを設計するかがこれからの課題である。もちろん、この時にIT(情報技術)が大きな働きをする。新しい社会をコンピューター上に仮想的に作ってシミュレーションする技術にはもっと注目しなければならないと思う。

 電気自動車社会作りとスマートグリッド社会システム作りは同時に並行して行って、大きな全体最適を目標とするのが正解に近いということだ。

 デンマークは電力需要の20%以上を風力発電でまかなっている、再生可能エネルギー発電の先進国である。しかし、天候次第の気まぐれな風力発電を経営するために、近隣諸国との電力売買取引や化石エネルギー発電のバックアップ供用が欠かせないのが現状のようだ。

 ところが最近の報道では、このような現在の問題点を電気自動車の普及によって解決しようという動きが始まっているようだ。デンマークだけでなくEUの主要国の電力事業者が、電気自動車を供給する仏ルノーと協調して、電気自動車を使った新しいスマートグリッド社会作りに乗り出そうとしているようだ。

 環境エネルギー問題に対する世界中の色々な取り組みを見ていると、結局それは環境エネルギーを活用する新しい社会システムの設計を競っていると見ることもできる。

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