「クラウド――脱・自前主義の経営」

クックパッドのデータ処理、たった5万円

時間も200分の1以下に短縮、わざわざ米国のサーバを使う理由

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2010年4月20日(火)

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 月間ユニークユーザー数、884万人、月間ページビュー数、4億6000万(2010年3月)を誇る国内ナンバーワンの料理レシピの投稿・検索サイト「クックパッド」。

 日常的に料理をする人はもちろんのこと、たまにしか包丁を握らない人でもクックパッドのウェブサイトを一度は訪れたことがあるのではないか。

2ちゃんねるやTwitterを凌駕する

 それくらい、クックパッドはレシピの投稿・検索サイトとして不動の地位を築いているように思える。なにしろ、母の日とカミサンの誕生日くらいしか、料理をしない筆者でさえも、クックパッドは何度かのぞき、お世話になったことがあるくらいだ。

 ページビュー数の比較でいえば、この4億6000万という数字は、2ちゃんねるや今流行りのTwitterを凌駕し、ウィキペディアを若干下回る程度というから、驚くばかりだ。

 一見、本コラムのテーマであるクラウドとは、無関係に思えるクックパッド社が、実はクラウドを非常に有効に活用しているという噂を聞きつけ、筆者は早速、同社を訪ねた。

 東京都港区白金台にあるクックパッドの本社オフィスに入ると、すぐ目についたのが、受付のすぐ横に位置する広めのキッチンと大きなテーブルである。広さにして約60平方メートル。てっきり、料理教室でも主催しているのかと思ったが、「社員が自分でランチを作るんですよ」と同社広報部の櫻井友希代氏が教えてくれた。

「テクノロジー・カンパニー」クックパッド

 こうした光景を見る限り、ますますクラウド・コンピューティングとは縁がなさそうに思えてくるが、実は同社は創業以来「テクノロジー・カンパニー・クックパッド」を標榜し、料理専用検索エンジンを自社開発するなど、非常に技術志向の強い会社である。

 また、クックパッドのウェブサイトは2008年7月に大規模なリニューアルを実施した際、WebアプリケーションフレームワークのRuby On Railsを使って構築したことでもIT業界の注目を集めた。

 なぜなら、Ruby On Railsは比較的新しいフレームワークのため、当時はそれほど実績も多くなく、特に大規模ウェブサイトの構築実績には乏しかったからだ。現在でも、Ruby On Railsを採用して構築されたサイトとしては、日本最大であり、世界でも有数のサイトの1つである。

 Ruby On Railsの公式サイトでは、Ruby On Railsを使って構築したアプリケーションの代表例が紹介されている。日本語のアプリケーションはクックパッドと英語学習コミュニティサイトである「Smart.fm」の2つだけだ。

 考えてみれば、ヤフーにしろ、楽天にしろ、巨大ウェブサイトを安定して運用するには、高度な技術力が要求される。日本最大の料理サイトにして、日本有数のウェブサイトの一つに数えられるまでに成長したクックパッドも例外ではないということだろう。

 なお、このように技術に力を入れている同社では、4月23〜25日にエンジニア向けに「開発コンテスト24」を開催する。腕に自信のあるエンジニアは応募してみると良いだろう。優勝賞金は30万円だ。

膨大な検索ログの解析に活用

 やや前置きが長くなったが、クックパッド社では、ユーザーが料理レシピの検索のために入力した膨大な検索ログのデータ解析にクラウドを活用している。

 解析された結果は「たべみる」というサービス名で、消費者の潜在的な食材へのニーズを示す貴重なマーケティングデータとして、食品メーカーなどに外販されている。料金は年間180万円だ。

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著者プロフィール

城田真琴(しろた・まこと)

野村総合研究所技術調査部 上級研究員。
北海道大学工学部卒業後、大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て、2001年より現職。現在、ITアナリストとして、先端テクノロジーの動向調査、ベンダー戦略の分析、ユーザー企業のIT利用動向調査を推進。同時にそれらを基にしたITの将来予測とベンダー、ユーザー双方に対する提言を行っている。専門領域は、クラウド・コンピューティング、仮想化などのITサービス、IT基盤技術。2009年より、総務省「スマート・クラウド研究会」技術WG構成員。
著書に『クラウドの衝撃』(東洋経済新報社)、『今さら聞けないクラウドの常識・非常識』(洋泉社)、『SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス』(毎日コミュニケーションズ)』、共著に『ITロードマップ 2010年版』(東洋経済新報社)などがある。



このコラムについて

クラウド――脱・自前主義の経営

クラウドはアマゾンのEC2のようなインフラ層から、グーグルのGmailのようなアプリケーション層のサービスに至るまで、企業システムのあらゆるレイヤーをカバーするようになった。
クラウドを利用すれば、短時間・低コストでシステムを構築できるだけでなく、事実上無限ともいえるIT資源が使えることで、企業に新たなイノベーションをもたらす可能性も高まる――。
日本でもクラウド時代が本格的に幕を開けようとしている。

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