「クラウドは誰に売るべきか?」。現在、クラウド・コンピューティングの事業化を計画している、あるいは既に事業を開始しているサービス・プロバイダが頭を悩ませている点はこの点だろう。
サービス展開で先行する米国の状況を見ると、低廉な利用料金が売りのパブリック・クラウド、特にIaaS(Infrastructure as a Service)の利用者の中心は、個人の開発者、あるいは、死語になってしまったが、Web2.0系の企業が多いとされる。
米国の場合、西海岸のシリコンバレーを中心に無数のIT系ベンチャー企業が存在する。しかも、スタンフォード大学やMITなど世界でも有数の理工系大学も抱えており、潜在的な利用者は相当なものだろう。
プラットフォームのオープン化が契機に
一方、日本に目を向けるとどうなのか。IT系ベンチャーの数は限られ、セキュリティに敏感な大企業は利用に及び腰――。筆者は少し前まで、このように考えていた。
しかし、ここにきて非常にクラウドと相性の良い市場があることが分かってきた。それは、ソーシャルアプリ市場である。
ソーシャルアプリとは、mixi(ミクシィ)やモバゲータウン、GREE(グリー)などのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のプラットフォーム上で動作するアプリケーションだ。
通常のゲームや占い、ECなどのコンテンツとの違いは、友人などとのコミュニケーションを重視している点にある。たとえば、ゲームであれば、個人で楽しむだけではなく、友人との共同作業を楽しむ、占いであれば、自分の運勢だけではなく、相手との相性を占う、ECであれば、自分のために商品を購入するのではなく、友人に対する贈り物(ギフト)というイメージだ。
昨年から、SNS各社がプラットフォームのオープン化に大きく舵を切り始めたことにより、外部の開発者でも、アプリケーションを開発し、mixiやモバゲータウン上で公開できるようになった。
3大SNS上でアプリの公開が可能に
口火を切ったのは、mixiだ。昨年8月に、「mixiプラットフォーム」をオープン化し、パソコン向けに「mixiアプリ」を、10月末には携帯電話向けの「mixiアプリモバイル」の公開を開始している。
11月にはmixiに続き、モバゲータウンがAPIを先行開発パートナーに開放、今年1月にはこのパートナー40社が開発した92作品のゲームが公開されている。
また、GREEも今年2月にプラットフォームのオープン化を発表、3月にはプラットフォームを利用した「モバイル版GREE」向けのゲームについて、開発パートナーの募集を開始している。
GREEもオープン化に踏み切ったことによって、ソーシャルアプリ・プロバイダは、日本の3大SNS上でアプリの公開が可能になる。
さらなる収益力強化を目指す
日本のSNS各社のプラットフォーム・オープン化の背景にあるのは、さらなる収益力の強化である。会員数(2009年12月現在 約1858万人)でいえば日本最大のSNSであるmixiは3社の中で最も売り上げが小さい。いち早く、オープン化に踏み切ったのは、早急なテコ入れ策が必要だったからだといえるだろう。
会員数2番目(2009年12月現在 約1673万人)のGREEの場合は、売り上げは一番多く、右肩上がりで伸びており、一見、不安要素はないように思える。しかし、2009年12月には、上場以来、初めてページビュー(PV)がダウンし、今後の売り上げの伸びの鈍化が懸念され始めた。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。










