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「車の空力設計」から「科学的な全体最適経営」を考える

数値流体力学から数値経営力学へ

  • 宮田 秀明

バックナンバー

2010年5月7日(金)

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 1990年前後の数年間は、ある自動車メーカーの乗用車の空気力学的な設計を支援していた。それまでに船の世界でコンピューターによるデジタル設計法を完成させていたので、水を空気に、船を乗用車に変え、コンピューター・シミュレーションによる乗用車の形状設計法を開発し、実際の車体設計へ応用していたのだった。「数値流体力学」という新しい技術の開発を行っていたのだ。

 乗用車にとって、空気の流れは大切だ。時速120キロで走っている乗用車の抗力の80%は空気によるものだ。車の周り、特に後ろには様々な複雑な渦が作られて、これが乗用車を後ろへ引っ張る。エンジンの馬力の80%は渦を作るために使われているのだ。空気による抗力の係数は「Cd」と呼ばれ、だいたい0.3ぐらいの数値になることが多い。トヨタのハイブリッド車「プリウス」はなかなかいい設計が行われていて、Cdは0.24である。

 風洞という大きな設備で実験も行うが、今では、車の形を入力してコンピューター実験を繰り返すことによって最適な形状が求められる。この時、抗力(Cd)を小さくするのが最大の目的だが、それだけではいい車にならない。

 次に大切なのは、上下方向の力である揚力である。飛行機はこの揚力という力で空を飛ぶのだが、乗用車にとって揚力は困った力だ。揚力が大きいと接地力が弱くなって不安定になってしまう。高速道路を走っていてもドッシリと安定させるためには、サスペンションやタイヤも大切だが、下向きの揚力つまり、ダウンフォースが発生するような車体全体の形状でなければならない。

「車の空力設計」=「抗力と揚力を最適にする作業」

 もう随分前だが、ル・マン24時間レースでメルセデスのレースカーが空を舞いそうになった。多少の前後揺れ(ピッチング)も影響したのだろうが、空力設計が甘かった。2年半前に発売された「NISSAN GT-R」は時速300キロ以上出るらしいのだが、それでも安定して走れるのは正しい空力設計がなされていて、揚力が下向きになっているからだ。

 一般に抗力を小さくして、下向きの揚力を発生させるには、ノーズを下げて(スラントノーズ)、後ろのトランクデッキを高くして(ハイデッキ)、後輪から後方の床面を上向きに切り上げればよい。しかし、乗用車では、居住性やトランクの容量など色々な条件と相克するので設計は難しくなる。

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