「エンタメ産業100年目の激震」

佐野元春が語るネットと音楽の最先端(下)

合言葉は「友愛」、我々が求めるのは「体温」です

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2010年5月13日(木)

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対談で語る佐野元春氏(左)
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 ―― ファンが作るサイトとして始まり、佐野さんのアーティスト活動の半分を一緒に過ごしてきた「Moto's Web Server(MWS)」。一体どんな進化を遂げてきたのでしょうか。

 今井 MWSの15年を振り返ってみると、最初の6年でMWSは今のインターネットでの音楽、動画配信や音楽ダウンロードなどは、ほぼやり尽くしています。その後は規模が大きくなるか、技術的に簡単になるかぐらいの差ですね。

 宮田 1996年、佐野さんの日本武道館の公演をライブ配信したんです。持ち寄り機材でウェブカメラで取り込んでは画像をポンポン出すプログラムを組んで。音声はリアルオーディオでエンコードして流す。

15年前にあったユーストリームの原型

 佐野 1996年12月16日。「Fruits Punch」という公演でした。企業の力でなく自分たちでやる。おそらく日本で初めてのインターネット生中継だったと思います。

 持ち寄ったのはみんなのパソコンと秋葉原で売っているようなウェブカメラ。それと武道館にあった128kbpsのISDN。もちろんスムーズな動画が得られるハズもなく、受け手がリロードすることで画像が得られるというものでした。

 しかしクオリティはともかく、民間レベルで大掛かりな生中継ができることが目の当たりになった瞬間だったわけです。

 今井 画像配信の横ではチャットをしたんですよ。

 ―― ユーストリームと全く一緒ですね。

 今井 そうなんです。ですので、ユーストリームの脇で流れるソーシャルストリーミングは、懐かしい感じがしますね。僕らはあくまでもファンサイトですから、それを事業にはしませんでしたが(笑)。

 佐野 海外からもアクセスが集まりました。当時はチャットのシステムをCGI(コモン・ゲートウェイ・インタフェース)で開発しました。1996年当時すでに、ユーストリームとツイッターの組み合わせを夢想していたといっていいと思います。

レコード会社は本来、夢と希望を与える仕事

 ―― 今後、音楽産業を構成するプレーヤーの役割はどう変化していくのでしょうか。

 佐野 たとえば、僕の提案は、レコード会社は営業力と機動力を活かして、音楽という文化物を売る専門プロモーション会社になったらどうかということです。

 レコード会社は本来、夢と希望を与える仕事です。レコードビジネスに大きな構造の問い直しがある現在、よい音楽を待つ多くの音楽リスナーのために、これまでの業態を変えざるを得ない現実もあるのかもしれません。

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著者プロフィール

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者。



このコラムについて

エンタメ産業100年目の激震

 日本にエンターテインメント企業が誕生してから今年で丸100年。レコード、CDなどメディアの発展とともに成長してきたが、最近は大物歌手やレコード会社もインターネットへの傾斜を強める。さらにツイッターやライブ配信など「ソーシャルメディア」が震源となり、産業の収益基盤から社会構造まで揺さぶろうとしている。

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