• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

スパコン、なぜ「中身」を仕分けない?

「次世代の次」も視野にある開発プロジェクト、もう1度冷静な議論を

2010年5月14日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 つい先日行われた事業仕分けではなく、2009年11月に行政刷新会議が手掛けた1回目の事業仕分けで最も話題になった案件と言えば、間違いなくスーパーコンピューター(以下スパコンと略記)の開発プロジェクトであろう。改めてこの問題を考えてみたい。

論点整理もまともな議論もほとんどないまま

 ご存じの通り、スパコン開発プロジェクトは「限りなく予算計上見送りに近い縮減」という事実上の凍結がいったん決まったが、12月に入って政治判断の結果、続行になった。昨年に一件落着した案件だが、筆者は今年の初めに公開した「早過ぎる?2010年IT産業5大ニュース」という拙文で、「2010年、国策スパコンをきっかけとする様々な論点について書き続けてみたい」と述べた。

 年初の拙文は「2010年に起こるであろう、IT(情報技術)産業関連の5大ニュース」を予測するという内容で、5大ニュースの1つとして国策スパコン問題を選んだ。もう終わった話を持ち出すのは、年初に次のように書いた通り、「『このままではいけない』と思う」からである。

 開発続行に反対とか賛成ということではない。「日本の競争力につながるコンピューターの開発」という重大なテーマが提起されたにもかかわらず、科学者のお歴々の非科学的恫喝が効いたのか、論点整理もまともな議論もほとんどないまま、あっさり続行が決まってしまった。これではあまりにも惜しい。

 こう書いてから4カ月が経ってしまったが、「論点整理もまともな議論もほとんどないまま」では「あまりにも惜しい」という気持ちは変わっていない。そこで今回の1文を書かせていただく。

次世代のさらに次の開発も視野に入る

 「一件落着」「もう終わった話」と書いてきたが、国策スパコンを巡る問題はまだしっかり残っている。凍結から一転して復活した次世代スパコンの開発が進む一方、さらにその次のいわゆる「次々世代スパコン」の開発が視野に入ってきたからだ。

 次世代スパコンの開発を担当している理化学研究所には、次々世代スパコンをにらんだテストマシンが別途導入されており、このマシンは2009年8月から動いている。

 次々世代スパコン開発プロジェクトについては、まだ何も決まっていない。どのような目的でどんなスパコンをどういう技術を使って誰が、いかほどの予算を使って開発するのか、といった点をこれから検討していくことになる。

 次世代スパコンを巡ってあれだけ大きな騒ぎになったのだから、次々世代スパコンについては開発するかしないかも含め、しっかりとした議論をする必要があるはずだ。実際、昨年11月27日~12月15日に、ITproというサイトでアンケート調査をしたところ、回答者の79.6%が「もっと議論をすべき」と回答した(「国策スパコン開発、8割の読者が議論の必要性を指摘」)。

コメント16件コメント/レビュー

「ツーレイト、当時怖くて批判できなかったのでしょう」とコメントされた方へ。このサイトでは、2009年12月16日(水)当時、「大人のための理科教育で、一億総理系化を!」でノーベル賞受賞者真っ向批判の記事を掲載していますよ。(2010/05/17)

「経営の情識」のバックナンバー

一覧

「スパコン、なぜ「中身」を仕分けない?」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BP総研

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者。2009年1月から編集長。2015年から日経BP総研 上席研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「ツーレイト、当時怖くて批判できなかったのでしょう」とコメントされた方へ。このサイトでは、2009年12月16日(水)当時、「大人のための理科教育で、一億総理系化を!」でノーベル賞受賞者真っ向批判の記事を掲載していますよ。(2010/05/17)

本記事に強く賛同します.国策で「次々世代スパコン」を開発すべきかについて私は個人的に結論を出せていませんが,少なくとも,いまの京速計算機と「同じやり方」でやるのは「論外」でしょう.とくに「何のためにやるのか」について広く公開された議論が必要です.京速計算機については,過去資料をWebで少し調べただけでも (1)ナノテクノロジー分野やライフサイエンス分野などの「グランドチャレンジ」と,それに必要な研究拠点の整備と人材育成という当初の目的が,いつのまにか「ついでの話」になってしまい,極度に「世界一奪取」に傾倒していっていた (2)当初は「ベクトル・スカラーの複合構成」が必要だとされていたのが,いつのまにか「ベクトルは必要ない」となっていた,という極めてずさんな実態が分かります.そして,仕分け人に「科学技術に理解のない無知で乱暴な素人」という誤った「悪役」のレッテルを貼ってしまった,文部科学省が権威者を動員して行った悪質な情報操作と,それに手を貸したマスコミのいいかげんな報道は断じて許せません.これらの点について徹底的な総括がなされなければ,到底「国民の理解」など得られやしないでしょう.(2010/05/16)

処理能力の速さを競うのもいい。だが多くの人はその処理能力の数値にだけ目を奪われていて、それが運用にも莫大な労力を必要とする、重厚長大な代物だと言うことを知らない。膨大な電力がいるので専用の電源システムが必要だし、発生する熱量が膨大なので絶対零度に近いような特殊な環境が必要だし、その環境ですらフルパワーで運用したら数十分でオーバーヒートするので、安全のためその前にダウンさせなくてはならないし、冷却と壊れてないか部品を点検するので、連続運転どころか一日置きに稼働させるのも難しい代物だ。使いたいときに使いたいだけ利用出来るようなシステムではなく、技術的な実験機で、特殊な設計なので、性能を落として汎用化して市販パソコンに技術を応用することも難しい。市場は効率のいい電気自動車を必要としているのに、あまり役に立たないF1用の高トルクエンジンを国費で開発しているようなものだ。瞬間的な処理能力で世界一位ではなく、連続稼働時間や、処理能力×稼働時間の総量が世界一位のようなスパコンを開発するべきではないか。例えば完全に近い冗長性をもたせて、宇宙線からの影響も限りなくゼロにして、一年間安定稼動するスパコンである。完成すれば間違いなく、他の「世界1の瞬間処理能力を持つスパコン」以上に価格競争力を持つと思うが。そして開発したエラーに強い技術は市販のパソコンにも応用できるだろう。(2010/05/15)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授