「クラウド――脱・自前主義の経営」

上海拠点が火付け役、「持たない革命」

中古車のガリバー、Google Apps採用でワークスタイルも刷新

バックナンバー

2010年5月19日(水)

1/4ページ

印刷ページ

 日本でも導入が進み始めたクラウド。中でも目立って増えてきたのがSaaS(Software as a Service)型のコミュニケーションツールである。特に人気が高いのは、グーグルのGメールを含む「Google Apps」だ。

約50の大学がGメールを採用

 Google Appsの採用で先行しているのは大学である。既に10万人の学生が利用する日本大学や一橋大学、立教大学、岡山大学など約50の大学が導入している。大学で導入が相次ぐ一番の理由は、教育機関向けのエディションである。「Google Apps Education Edition」が無料で提供されているからだろう。

 グーグルの狙いはGoogle Appsをできる限り多くの学生に使ってもらうことで、将来これらの学生が企業に入社した際にも、継続して利用してもらうことだ。グーグルのサービスに慣れ親しんだユーザーが企業内で増えていき、こうしたユーザーの声が大きくなっていけば、既存のコラボレーションツールの牙城を崩せる、と踏んでのことだろう。

 既に企業においてはプライベートでGメールを利用しているユーザーが「なぜ会社ではGメールが使えないのか?」と不満を募らせるケースが増えてきている。学生時代に学内でもプライベートでもGメールを利用してきた学生が今後続々と入社するようになると、ますますGメールの利用を社内でも求めるケースが増加しそうだ。

企業でも採用が始まる

 一方、企業においてはどうか。確認したわけではないが、セキュリティを気にする日本企業の場合、大学よりは導入が遅れていると推察される。しかしながら、東急ハンズやユニチャーム、松竹、ガリバーインターナショナルなどの企業が導入を開始しており、この傾向は今後も続きそうだ。

 ちなみに全世界では、既に200万以上の企業が導入しているとされる。

 今回は、企業におけるGoogle Appsの活用事例として、ガリバーインターナショナル(以下、ガリバー)の例を紹介しよう。

 中古車売買大手のガリバーは、1994年の創業以来、全国にある直営店やフランチャイズ店で買い取った車を、展示場での販売を一切行わず、買い取りから7〜10日でオークション会場に売却するという「買取」に主眼を置いた斬新なビジネスモデルで成長してきた。

 2010年2月期の連結売上高は約1490億円、営業利益は52億8100万円を記録している。特に、営業利益は前期比で35.2%増と好調である。

「買取」から「販売」へビジネスモデルを変革

 同社では、この要因として、中古車オークションを通して中古車事業者に販売する「卸売り」よりも利益率が高い一般消費者向けの「小売り」の台数(直営店小売台数)が前期比38%増となったことによって、利益率が改善したことを挙げている。

 同社では2008年9月頃から、「買取」から「販売」へとビジネスモデルの変革を進めてきたが、このビジネスモデルの変革が成功を収めつつあるといってよいだろう。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント2 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

城田真琴(しろた・まこと)

野村総合研究所技術調査部 上級研究員。
北海道大学工学部卒業後、大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て、2001年より現職。現在、ITアナリストとして、先端テクノロジーの動向調査、ベンダー戦略の分析、ユーザー企業のIT利用動向調査を推進。同時にそれらを基にしたITの将来予測とベンダー、ユーザー双方に対する提言を行っている。専門領域は、クラウド・コンピューティング、仮想化などのITサービス、IT基盤技術。2009年より、総務省「スマート・クラウド研究会」技術WG構成員。
著書に『クラウドの衝撃』(東洋経済新報社)、『今さら聞けないクラウドの常識・非常識』(洋泉社)、『SaaSで激変するソフトウェア・ビジネス』(毎日コミュニケーションズ)』、共著に『ITロードマップ 2010年版』(東洋経済新報社)などがある。



このコラムについて

クラウド――脱・自前主義の経営

クラウドはアマゾンのEC2のようなインフラ層から、グーグルのGmailのようなアプリケーション層のサービスに至るまで、企業システムのあらゆるレイヤーをカバーするようになった。
クラウドを利用すれば、短時間・低コストでシステムを構築できるだけでなく、事実上無限ともいえるIT資源が使えることで、企業に新たなイノベーションをもたらす可能性も高まる――。
日本でもクラウド時代が本格的に幕を開けようとしている。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内