テレビや新聞・ウェブのニュース、雑誌での特集など、メディアに露出しない日はない「スポーツ」。プロスポーツと聞けば、年棒数億円の選手が数多いる華やかな世界を想像される方も多いだろう。最近では開催が目前に迫った南アフリカのサッカーワールドカップが話題の中心だが、私はその話題の端で報道された5月14日の記事に注目している。
男子プロバスケットボール・bjリーグの高松ファイブアローズを運営する「スポーツプロジェクト高松」が、高松地裁に破産手続き開始の申し立てを発表
スポーツ事業者が運営に行き詰まったという記事である。このほかにも2004年、プロ野球の近鉄バッファローズとオリックスブルーウェーブがスポーツ事業の経営面の苦しさから合併すると発表し、球界に激震が走ったことは記憶に新しい。Jリーグでも2009年に大分トリニータと東京ヴェルディの2チームの経営が苦しくなっていると報道された。
スポーツ事業者は、中小企業である
このように、「スポーツ事業は親会社の広告塔であり、ある程度の赤字であれば広告宣伝費で賄ってしまおう」という従来の考えでは立ち行かないのが現状である。もはや単独で“経営”していくことがスポーツ事業者には求められる時代なのだ。言い換えれば「スポーツというコンテンツをお飾りと位置づけていては、早々に経営が行き詰まるという状況を迎えてしまう」時代なのである。
一見華やかなスポーツの世界だが、個々のチームがどれほどの事業規模かを正確に理解されている方は少ないのではないか。国内最大のプロスポーツであるプロ野球の市場規模は1000億〜1500億円と推計され、平均すると1チーム約100億円となる。また、Jリーグでは浦和レッズを除くチームすべてが50億円未満という規模。このことから分かるように、ほとんどのスポーツ事業者は中小企業の規模と言える。
規模としてそれほど大きくないことに加え、スポーツ事業者の経営は、チームの成績に連動した“ジェットコースター経営”になってしまう特徴がある。つまり、成績が優勝もしくは上位にいると売り上げも大きくなり経営が安定するが、チームが下位になると、売り上げが落ちるだけでなく赤字となるリスクが極めて高くなってしまうのだ。
では、スポーツ事業者の経営は強いチームを作ることに尽きるのか。これはあながち間違いではないが、勝つチームがいれば負けるチームがいるのがスポーツである。負けるチームが次々と倒産や撤退を迎えてしまっては、プロスポーツとして成り立たない。
B2B頼みは不安定な構造になりがち
ここで、スポーツ事業を詳しく見てみたい。スポーツ事業は、B2B事業(企業から収入を得る事業)とB2C(個人=ファンから収入を得る事業)の2つに分けることができる。B2B事業の主だった収入は、スポンサー収入、著作権収入、放映権、スタジアム広告など。一方のB2C事業は、チケット収入、物販収入、ファンクラブ会費やモバイル公式サイト収入などが挙げられる。
男子プロバスケットボール・bjリーグの高松ファイブアローズを運営する「スポーツプロジェクト高松」やサッカーJリーグの大分トリニータや東京ヴェルディは、B2B事業のスポンサー収入の収益悪化が経営不振の引き金となった。B2B事業は、日本経済の低迷やテレビ広告市場縮小に伴う放映権収入の低下などスポーツ事業者の経営努力だけではどうすることもできないケースが多い。
前述の3チームにしても、リーマンショックなどの影響でスポンサーが撤退したため、経営悪化は不可抗力と言えなくもない。しかし、ここで重要なのは、3チームの収益構造が外部環境で影響されやすいスポンサー収入に依存する不安定な構造=事業運営上リスクの高い構造であったということだ。
消費者金融のテレビコマーシャルではないが“バランス”が大事なのである。すなわち、大きな収入は見込めるが事業者の操作性が低いB2B事業と、事業者自身の努力で収益化を目論むことができるB2C事業の“バランス”を勘案する必要がある。
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