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地道な積み重ねがセレンディピティを育む

中外製薬「国産初の抗体医薬品『アクテムラ(トシリズマブ)』」(その1)

2010年6月16日(水)

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 科学の世界でよく耳にする言葉に「セレンディピティ(serendipity)」がある。

 もともとは、『セレンディップの三人の王子たち』というお伽噺に感動した18世紀のイギリスの作家ホレス・ウォルポールによって発案された造語である。

 最近は「偶然の幸運に恵まれること」という意味で使われていたりもする。しかし、本来の意味は、そんな他力本願な“状態”や“状況”を指す言葉ではない。

 正しくは、何か探している時に、それとは別の価値あるものを見つけ出す“能力”や“才能”を指す言葉である。

 2002年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一の例も、その1つと言えよう。

 1985年、田中は実験中、試料として使うはずのアセトンではなく、誤ってグリセリンを混ぜてしまった。その誤りにすぐに気づいたが、田中はあえて実験を続けた。その結果、後のノーベル賞受賞につながる大発見を成し遂げたのである。

 それは、単なる偶然ではなく、もともと探そうとしていたものとは別の“価値あるもの”の存在を見抜く才能が彼にあったからこその大発見だった。

世界が認めた国産初の抗体医薬品

 「“セレンディピティ”と言うんですよ。僕はあんまり好きな言葉じゃないんですが・・・」

中外製薬でアクテムラの開発に携わったプライマリー学術情報部部長の大杉義征氏(写真:佐保 圭)

 中外製薬プライマリー学術情報部部長の大杉義征がこう語るように、2006年に日経BP技術賞の医療・バイオ部門を受賞した抗体医薬品「アクテムラ(商品名。一般名は「トシリズマブ」)」が誕生したのも、そんなセレンディピティの賜だった。

 アクテムラは、希少疾病であるキャッスルマン病に効く治療薬として、世界で初めて承認された国産初の抗体医薬品である。

 この医薬品の開発が日経BP技術賞で高い評価を受けた理由は、世界中で多くの人々を苦しめている関節リウマチや若年性突発性関節炎など、様々な難治性の自己免疫性疾患への応用も期待されたからだ。

 実際、受賞から4年経った2010年5月現在、アクテムラは関節リウマチに効果のある医薬品として世界70カ国以上で承認され、およそ25カ国以上で発売(2月3日現在)されされている。

中外製薬の「アクテムラ」(写真提供:中外製薬)

 このアクテムラがいかにして関節リウマチの治療に効果を発揮するか、その仕組みを医学的に説明するとかなり複雑な話なので、ここでは避ける。理解しておいてほしい最大のポイントは、このアクテムラが、自己免疫疾患の原因となるインターロイキンの「IL-6」を阻害することによって、関節リウマチを寛解(病気の症状が、一時的、あるいは継続的に軽減した状態。または、見かけ上消滅した状態)させる点だ(参考:中外製薬のウェブサイト「アクテムラについて『作用の仕組み』」)。

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