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ここまで進んだ“クラウド政府”

定額給付金やエコポイントでも適用、米国では「最初に検討せよ」

  • 城田 真琴

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2010年6月8日(火)

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 クラウドを使って、自前主義からの脱却を図っているのは、民間企業だけではない。政府や自治体にもクラウドの波は押し寄せている。最終回となる今回は、日米政府など公的機関のクラウド活用事例について紹介する。

定額給付金支給管理システム

 政府・自治体のクラウド活用事例でまず思い出されるのが、山梨県甲府市の定額給付金支給管理システムだろう。

 定額給付金は、2008年10月30日に政府・与党等が決定した「生活対策」に基づくもの。その事業主体は市町村であったため、各市町村は生年月日や連絡先といった世帯情報や給付の状況、給付金額、給付に関する問い合わせなどを世帯ごとに管理する必要性に迫られた。しかも、早い市町村では2009年の3月上旬から給付が開始されたことから分かるように短期間での対応が条件である。

 従来のように自前でハードウェアを調達、設定し、スクラッチでシステム開発すると、相当な時間がかかり、間に合わない可能性が高い。また、そもそも、限られた期間しか使用しない一過性のシステムとなるため、そのためにわざわざハードウェアなどを調達するのも無駄が多い。

 このため、山梨県甲府市では、セールスフォース・ドットコムのSaaS(Software as a Service)型顧客関係管理ソフト「Salesforce CRM」をカスタマイズし、定額給付金支給管理システムとして採用することを決めた。

 なお、住民の個人情報を扱うことから、実際に利用したのは、Salesforce CRMをVPN(Virtual Private Network)で利用するSalesforce over VPNである。VPNを利用することで、少なくとも通信中のセキュリティについては確保されるというわけだ。

エコポイント申請システム

 日本政府が約1年前にスタートさせた「グリーン家電エコポイント」(エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業)でのクラウド活用も有名だ。

 エコポイントの申請や商品交換手続きは家電の販売店だけでなく、インターネットからでも行えるようになっている。この申請サイトはセールスフォース・ドットコムのPaaS(Platform as a Service)「Force.com」を利用して構築、運用されている。

 エコポイント制度は、2009年5月末に可決された2009年度の補正予算に盛り込まれたもの。この申請サイトの運用が7月1日から始まったことを考えると、1カ月かかったかどうかという早さでシステムが構築されたことが分かる。

 このシステムで想定されていた申請件数は2000万件。2000万件のデータ管理、アクセス集中時の負荷を想定したサイジング、ハードウェアの調達も含めて考えると、クラウド以外の手段では、この納期には間に合わなかっただろう。

 また、当初予定されていたエコポイントの登録期限が2010年4月30日までの10カ月間(現在は2011年2月28日までに延長されている)、登録されたエコポイントが商品と交換できる期限は2012年の3月31日までとされており、定額給付金支給管理システム同様、一過性のシステムであり、クラウドとの親和性が高い。

 このように政府・自治体においても、パブリック・クラウドを利用したシステム構築事例はちらほらと報告されるようになってきている。とはいえ、政府全体としては、「霞が関クラウド」という言葉に代表されるように、どちらかというと、プライベート・クラウド指向が強いように思える。

コメント4件コメント/レビュー

行政マンです。システム担当ではないので正確ではないのですが、下から2つめのコメントを受けて。▼行政の事務でのシステムは、寡占状態であり、本市も一つの企業が入札か何かで受注し、その後20年以上、同一企業のシステムを利用している状態です。しかも、システム的にも20年以上前のものなので、トラブル続き。更新しようにも、新システムへのデータ移管が現実問題として難しいと聞いており、結果屋上屋を重ねて、不安定な状態です。▼行政的なシステムとしては、課税システムや住民基本台帳+戸籍システムが、市の運営のベースとなっております。これらは、法律に基づくものであり、一定程度、システムの共通基盤ができれば共用できるかと思うのですが、現状はおっしゃるとおりバラバラで統一するには、なかなか大変な調整が必要です。共通基盤化は、その企業のみが独占して利益を得ることになり、システム開発企業としても面白くないので、現状のままだという噂にも似た話を聞いたことがありますょ・・・(2010/06/10)

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行政マンです。システム担当ではないので正確ではないのですが、下から2つめのコメントを受けて。▼行政の事務でのシステムは、寡占状態であり、本市も一つの企業が入札か何かで受注し、その後20年以上、同一企業のシステムを利用している状態です。しかも、システム的にも20年以上前のものなので、トラブル続き。更新しようにも、新システムへのデータ移管が現実問題として難しいと聞いており、結果屋上屋を重ねて、不安定な状態です。▼行政的なシステムとしては、課税システムや住民基本台帳+戸籍システムが、市の運営のベースとなっております。これらは、法律に基づくものであり、一定程度、システムの共通基盤ができれば共用できるかと思うのですが、現状はおっしゃるとおりバラバラで統一するには、なかなか大変な調整が必要です。共通基盤化は、その企業のみが独占して利益を得ることになり、システム開発企業としても面白くないので、現状のままだという噂にも似た話を聞いたことがありますょ・・・(2010/06/10)

クラウドを本来的に使いこなしているのはamazonやgoogleってのはよくわかるのだが、インフラ、ソフト開発(パッケージ適合)、運用のほぼすべてをアウトソースすることとクラウドとは本質的に違うことで、記事からはアウトソースの利点やパッケージとプラットフォームの抱き合わせ販売のメリットやそれがはやりつつあることのアジテーションしか読み取れない。そもそもSaaS≠クラウドだと思うのだが。こうした情報提示がクラウドをbuzzword化しているのでないだろうか?(2010/06/09)

九州のある自治体が、近隣の自治体と共同でシステムを開発しようとしたところ、同じ住民票の異動申請に使用する帳票のフォーマットが、すべての自治体で異なっており、システム開発の前に、これを揃えるところから手をつけなければいけなかったという記事を以前読んだ記憶がある。さらに、日本では、自治体向けのシステム開発が大手ベンダーの寡占状況にあるため、こうした状況は、これまであまり問題になってこなかったのだとか。格安の入札で開発を請負い、あとのメンテナンスで儲けるのが、かれらベンダーの常套手段だそうだ。ひとつでも多くの自治体を自分の懐に入れてしまえば、あとは煮るなり焼くなり自由自在というところだろうか。官民そろって納税者をバカにした、こうした自治体向けシステム開発の現状を考えると、クラウドなんて、とてもじゃないが夢物語という気がする。でも考えてみれば、もしこれが改まれば、日本の行政コストは劇的に下がる可能性があると考えれば、少しは気持ちも晴れるかな。(2010/06/09)

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