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3Dテレビが指し示す「真っ当な進化」と「破壊的進化」

持続的なイノベーションだけで、日本企業は生き残れるか?

  • 石綿 昌平

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2010年6月17日(木)

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 2010年3月に、韓国サムスン電子が3Dテレビを韓国・欧米市場で日本勢に先んじて発売。パナソニック、ソニー、シャープも順次自らの得意技を合わせながら市場投入を開始した。今後の市場規模としては、2013年には1500万台とも2000万台とも言われている。そのほか、任天堂が3Dに対応したゲーム機「ニンテンドー3DS」を投入するといった発表までされている。

 2009年末に公開された3D映画「アバター」が、2010年1月25日時点で全世界興行収入が約1670億円となり、タイタニックが持っていた記録を抜き、歴代1位の座についた。そのほか、3Dを利用した映画が多数公開されている。6月11日から始まったサッカーのワールドカップでは3Dによる中継もされる。

 もっとも、これまでも3D映画自体は存在していた。しかしそれは、あくまでもニッチな市場でしかなかった。それがメーンストリームの映画に適用されヒットを飛ばし、一般販売されるテレビにも搭載され始めたのが2010年である。コンテンツ、デバイスの両方の側面で3D化が推進されており、これが2010年は「3Dブーム」「3D元年」と言われるゆえんである。
 

日本企業は現在のポジションを思い出せ

 3Dという技術搭載によって、テレビメーカーは、単価下落が激しいテレビにとって、その傾向に歯止めをかけることができ、また、中国などのローエンド製品を提供しているメーカーとの差異化ができるかもしれない。パナソニックは得意のPDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)を中心に据える。シャープは液晶パネル製造の強みを使って、カラー表示を豊かにする。ソニーはゲームやサッカーなどのコンテンツと連携する・・・。それぞれの得意分野を活用して、違いを打ち出す。

 コンテンツ業界にとっては、特にハリウッドなど既存メガプレーヤーが、コストをかけて3D映画を製作することで、低予算しか持たないコンテンツプロバイダーや動画配信サービス「YouTube(ユーチューブ)」といったCGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)プレーヤーと差異化できるかもしれない。

 この考え方は、まさに既存のプレーヤーが、他者と差をつけるため、単価下落の歯止めのため、高機能に走り続けるものである。これではハーバード・ビジネス・スクール教授のクレイトン・クリステンセンが唱えている中でも、持続的なイノベーションにしか過ぎない。さらに悪いことに、全世界の市場のニーズをあまり考慮せずに、日本企業同士の競争がこれをあおっている。

 しかし、思い起こしてみてほしい、液晶テレビやPDPは、ブラウン管からの置き換えなどでここ数年は非常に高い推移で成長をしてきたが、今後、先進国ではその需要が横ばいになることが見えている。さらに、そのシェアはサムスン電子とLG電子といった韓国勢が1位、2位に位置し、シェアは40%近くを占める。中国ブランドも登場しつつあり、日本勢は完全に2位以下グループである。

 このままでは、韓国企業と中国企業の間に挟まれてポジションを失っていってしまう可能性だってある。トップ企業が行うのとは異なる破壊的イノベーションをしかけない限り、逆転はありえない。

 日本の映画産業は2000億円前後でほぼ横ばいから減少、3兆円前後で横ばいであった地上波テレビ放送市場はここ数年継続して縮小傾向にある。奏功している間に、ウェブ2.0に代表されるCGMが台頭し、ユーザーのメディア接触時間の中でこれらCGMが占める割合が増加し、広告収入もこちらに振り向けられる割合が増加してきている。業界全体としては、縮小しつつある市場から脱却し、新規市場を創造しなくてはいけない。

 とはいえ筆者も、ネガティブな話だけして、それでおしまいということは避けたい。なんとか3Dをきっかけにパラダイム・チェンジが起き、それを日本企業につかんでほしいと思う。そこで、思考実験的に、世の中で様々語られるキーワードを軸に、パラダイム・チェンジを考えてみる。

ローエンドやオープン化に勝機を探す

 まずは、イノベーターズ・ジレンマにおける破壊的イノベーションの考え方、特にローエンド破壊の観点で考える。これは、世の中がハイエンドに注目している時に、それよりも劣る技術を低価格で提供。そのうち、そもそものローエンド技術が十分な性能となり、一気に破壊的イノベーションとして市場を置き換えるというものである。

出所:『イノベーションのジレンマ』(クレイトン・クリステンセン著、翔泳社)

 今のところ、最もきれいに3Dを表示する方法は、今年発売される3Dテレビに採用されている電子シャッター式の眼鏡をかけ、120ヘルツもしくはそれ以上の画面表示デバイスを持ったテレビで再生する方法である。それに比べ、ややそれよりも3Dとしてのクオリティは落ちるが実現可能なものとしては、視差バリアという方式で表示することにより、画素は多少落ちるが裸眼で3D化が可能なもの、液晶パネルを複数枚重ねて物理的に奥行きを生み出して立体映像を見せるマルチレイヤーディスプレーという方式などがある。

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