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実証実験よりもシミュレーションを

低コストで、どのように経営するかの答えを得る方法

  • 宮田 秀明

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2010年6月18日(金)

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 24歳で就職した私が最初に配属されたのは、船舶基本設計部でLNG(液化天然ガス)船の開発設計を行う課だった。そこで2週間の研修を終えた私に与えられた最初の仕事が、LNGタンクのウォーミングアップ、クーリングダウンのシミュレーション法の開発だった。

 LNG船はマイナス162℃で液化されたメタンガスを運送するのだが、点検や修理の時は常温に戻さなければならない。これがウォーミングアップだ。点検や修理が終わったらマイナス162℃に冷やさなければ、LNGを積むことができない。この両方のオペレーションを12時間以内に行えることがLNG船の運航にとって必要なので、それをシミュレーションする技術の開発をしなければならなかった。

 伝熱の問題は苦手だったが、2カ月足らずでシミュレーションのソフトウエアを何とか完成させた。フォートランという言語で書いたソフトウエアだったが、プログラムをご存じない課長に、新入社員の初仕事を理解してもらうのに苦労したことを思い出す。これが「時間進行シミュレーション」との初めての出会いだった。

「開発」段階で設計を誤ると、未来は拓けない

 東大に転職してからも流体力学の時間進行シミュレーションに取り組んだ。1979年から約20年の間、これが最大の研究テーマだった。

 実験を行う前にコンピューターシミュレーションを行うという開発方式は、この20年間に色々な分野で急速に普及した。

 すべての事業は、「研究」「開発」「実証」「普及」の4段階を経て実現される。この4段階のうちで「開発」は、最も本質的な成否の分かれ目の段階と言ってもいいだろう。ここで方向を誤ると先がない。開発の段階は設計の段階でもあり、この段階の有力なツールが「シミュレーション」なのである。

 アメリカズカップのプロジェクトでは4年間レース艇の開発設計を行ったのだが、最も大切な手段がコンピューターシミュレーションで、2番目が実験設備を使った実験だった。シミュレーションは当時低価格化が進んでいたワークステーションを使ったので、費用対効果も高かった。実験も欠かせなかったが、費やす時間と費用が大きく、効率の良いものではなかった。実験に使うヨットの模型の製作にかかる費用だけで技術チームの総予算の25%を超えていた。

コメント3件コメント/レビュー

偏見かもしれませんが、比較的モデル化の行いやすい工学系の方は、シミュレーションとすぐに言われる気がします。化学系とくに、応用製品(混合物)を扱っていると、非常に多変量かつ定量化/数値化が困難なものを扱っているとシミュレーションにかける労力のほうが実証実験の労力より遥かに大きくなります。さらに、実証実験も生半可な実験計画では労力が膨大になります。そこで、必要となるのは、定性的で膨大なこれまでのデータから、定性モデルを組み立て、最小実験量で開発を行うことです。このようにして、職人技でレシピが作られていきます。レシピといってもシェフの話じゃないですが、ある意味同じですね。(2010/06/18)

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偏見かもしれませんが、比較的モデル化の行いやすい工学系の方は、シミュレーションとすぐに言われる気がします。化学系とくに、応用製品(混合物)を扱っていると、非常に多変量かつ定量化/数値化が困難なものを扱っているとシミュレーションにかける労力のほうが実証実験の労力より遥かに大きくなります。さらに、実証実験も生半可な実験計画では労力が膨大になります。そこで、必要となるのは、定性的で膨大なこれまでのデータから、定性モデルを組み立て、最小実験量で開発を行うことです。このようにして、職人技でレシピが作られていきます。レシピといってもシェフの話じゃないですが、ある意味同じですね。(2010/06/18)

自然エネルギーのシミュレーションの時間軸として、30分というのは適当でしょうか?太陽、風力等は、もっと大きな周波数での出力変化があると思いますが。きちんとしたシミュレーションを行うのであれば、大きな周波数での出力変化が系統電力の電圧に及ぼす影響も考慮する必要があるのではないでしょうか。(2010/06/18)

LNG船もアメリカズカップのレース艇も目的がはっきりしていたからシミュレーションが有効だったようにも見えます。対して「効率の良い電力社会システム」とはしっかり定義されているのかが解りませんでした。供給側の効率だとしたら、それは経済面でしょうかCO2削減を優先するのでしょうか?また、えてして効率は、安全マージンとトレードオフになるのですが、停電等障害のリスクはどう扱うのでしょうか? 記事中では、プレーヤーが増えて系の複雑性が高まりリスクも増えているようにも読めました。研究が進みシンプルな解決策が提示されるのを期待しております。(2010/06/18)

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