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ゆうパック遅配騒動、透けて見える「組織力と政治の問題」

情報システム統合を避け“事業システム統合”に失敗したのはなぜか

  • 谷島 宣之

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2010年7月8日(木)

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 日本郵政グループの郵便事業株式会社(日本郵便)が宅配便事業「ゆうパック」でその底力を見せつけた。7月1日から日本通運の宅配便事業「ペリカン便」を統合し、取り扱う荷物の数を1日約60万個から100万個前後とほぼ倍増させたにもかかわらず、当初の遅配件数を1日わずか6万から7万個に抑え込んだからだ。

 新聞やテレビは、ゆうパックの遅配問題を大きく取り上げ、荷物が予定日に届かなかった利用者の怒りの声を伝えている。遅配になった荷物の総数は7月6日の段階で34万を超えており、その荷物を送った人あるいは待っていた人が立腹するのはやむを得ない。

 しかし、34万個以外の荷物は運ばれている。1日100万個として6日間でざっと600万、このうち560万個は運べた計算になる。驚くべきことに、日本郵便は今回の事業統合に際し、車両数や拠点数、従業員数をほとんど増やしていない。

ゆうパックの現場を責めてはならない

 従来の2倍の仕事をほぼ従来通りの体制でこなし、当初の遅配率は6~7%。しかも7月7日の報道によると、日本郵便の鍋倉真一社長は6日、記者団に対し「7月7日にも配達を正常化できる」と述べたという。

 これは偉業というべきではないか。この成果はひとえに現場、すなわち日本郵便のゆうパック部門と、そこに移籍した旧ペリカン便事業の担当者達の頑張りによって達成された。

 朝日新聞の7月6日朝刊によると、鍋倉社長は4日の会見で、「7月統合の判断は誤っていなかった。システムの大混乱に比べれば、今回は一過性のものだ」と「強弁した」という。

 朝日は「強弁」と評したが、鍋倉社長の言う通りだろう。全体のうち、たかだか6~7%の荷物の到着が数日遅れたくらいで大騒ぎをすることはない。鍋倉社長が「一過性」と断言できたのは、ゆうパック現場の奮闘ぶりに自信を持っていたからに違いない。

*   *   *

 ここまで読まれた読者の方々が気付かれた通り、以上の文章は冗談である。今、日本郵便や鍋倉社長、ゆうパックを賞賛するメディアはいないと思うが、「お粗末」「拙速」といった調子で叩くのは芸がないので思い切り誉めてみた。

 しかし、「従来の2倍の仕事を従来通りの体制でこなし、当初の遅配率は6~7%」、「この成果はひとえに現場、すなわち日本郵便のゆうパック部門と、そこに移籍した旧ペリカン便事業の担当者達の頑張りによって達成された」というくだりに関しては本気でそう思っている。

 人数についてここで補足しておく。各種の報道を見ると、旧ペリカン便事業担当者4000人が日本郵便に移籍したとされる。ただし、日本郵便全体で見ると、従業員数は25万人が26万人になった程度という。もともと日本通運はペリカン便事業のために地域の運送会社や赤帽などと提携していたが、そのすべてを日本郵便へ継承したわけではない、とする情報もある。とにかく、むやみに人員を拡大しなかったことは間違いない。 

仕事量が2倍になり、仕事のやり方も2通りに

 ここで、読者の皆様はご自分の仕事について考えていただきたい。7月1日から同業他社と事業統合が行われ、あなたの仕事の量が2倍になり、しかも職場の人数はそのままであったらどうなるだろう。当然、仕事のやり方を大きく見直さないと、こなせないはずだ。

 ところが、ゆうパックの場合、従来のゆうパックの事業と、日本通運から引き継いだペリカン便事業について、仕事のやり方や情報システムは一本化していない。つまり、ゆうパックの仕事のやり方と情報システム、旧ペリカン便の仕事のやり方と情報システムを併存させている。仕事量が2倍になったことに加え、仕事のやり方が2通りになっているわけだ。

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