「経営の情識」

成長企業の経営者から学ぶ「果敢さ」と「人重視」

「リスクなくしてチャンスなし」「楽しさはすべての源泉である」

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2010年7月28日(水)

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 記者が経営者を取材をする場合、広報担当者が立ち会うことが多いが、質問と受け答えは外部に公開されない。記者会見において経営者に質問する場合は、ほかの記者も質疑応答を聞けるが、一般の方々は会見場に入れない。

 ごく稀に経営者と記者のやり取りを公開することがある。7月16日の午後、IT Japan2010という催しで、久しぶりにその体験をした。日本ヒューレット・パッカード(HP)日本オラクルインテルシグマクシスの経営幹部にそれぞれ講演いただき、その直後に筆者がインタビューした。

 25年も記者をしているから質疑応答には慣れているが、16日の場合、1000人を超える来場者が聴いていたので、さすがに緊張し、あまりうまく話せなかった。数日後、聴講に来られていた知り合いの方から「谷島さんの声が小さく質問があまり聴き取れなかったが、講演者の回答はとても面白かった」という内容の電子メールを頂戴した。

製造業であるHPがネット企業を買ったわけ

 公開質問に応じていただいた4社のうち、日本HP、日本オラクル、インテルの3社はいずれも米国西海岸に本社を持つ大手IT(情報技術)企業の日本法人である。HPはパソコンやプリンタで、オラクルはデータベース管理ソフトで、インテルはCPU(中央演算処理装置)で、それぞれ世界一のシェアを誇る。

 これら3社の日本法人幹部の講演が続いたのは偶然だが、結果として、売り上げを伸ばし続けている大手IT企業の積極果敢な経営のやり方が印象に残った。

 例えば、M&A(企業の合併・買収)である。米国企業がM&Aに積極的というのは驚く話ではないが、「それだけ次々に会社を買ってよく経営できますね」と言いたくなるほど、大手IT企業はM&Aを繰り返している。

 「HPは参入している事業分野で1位か2位になることを目標にしており、この戦略にそって過去3年半で30社をM&Aした」(古森茂幹・日本HP取締役常務執行役員)。かつてはハードウエア会社を買うことが多かったが、ここ数年はソフトウエアやサービス企業を買っている。中には、デジタル写真をインターネット上に保存し共有できるSnapfishというサービスを手掛ける会社もある。

 HPもSnapfishもITの会社としてくくれないこともないが、これら2社は妙な組み合わせである。HPはハードウエアやソフトウエアを企業や個人に販売する製造業であり、Snapfishは個人向けのインターネットサービス会社である。日本企業に例えるなら、日立製作所が「××コム」といった名前のネットベンチャーを買ったようなものだ。

 もちろんHPなりの理屈がある。古森常務によると「ビジネスから個人の生活まであらゆる取り組みがサービスの形で提供されるようになっていく」。HPはこうした“Everything as a Service”の基盤を提供する企業を目指していく。

 Snapfishは基盤ではなく、サービスそのものだが、HPが自らサービスを手掛けることにより、「どのようなシステム基盤やデータセンターが必要なのかを学び、事業に活かす」(古森常務)という。

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著者プロフィール

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所研究員、コンピュータ・ネットワーク局編集委員。1985年に記者となって以来、情報システム関連のテーマを取材し続けている。関わった媒体は「日経コンピュータ」「日経ウオッチャーIBM版」「日経ビズテック」「日経ビジネス」「経営とIT」など。「ビジネスとテクノロジーの一体化」に最大の関心を寄せる。

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