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“iPad狂騒曲”が示すユビキタスを超えた世界

Layered ReadingやSixth Senseなど、時代は「レイヤード」へ

  • 寺田 知太

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2010年8月5日(木)

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 右も左も米アップルのタブレット型端末「iPad(アイパッド)」である。発売から3カ月足らずで販売台数が全世界で300万台を超えたとか、米マイクロソフトや米グーグルなど名だたる競合プレーヤーがiPad対抗デバイスを開発しているとか、iPadに関連するニュースが途切れることがない。一方で、「もう飽きた」「重たい」「使えない」といった不満から、日本が誇るクリエイターの巨匠からのダメ出しまで、実際に使ってみて(使っているのを見て?)の批判も様々、出始めている。

 筆者のお付き合いのある企業の現場からも、「これまでネットに対して全く関心がなかったうちの役員がiPadを触っています」「経営がiPad 対策プロジェクトを立ち上げました」といったような話が飛び交い、とにもかくにもiPadがらみの話に事欠くことはない。

 ネットに関心を持たなかった層をも巻き込んで一大ブームを引き起こしているiPad、そしてそれを生み出したアップルは、本当に凄いと思う。きっと、これからiPadのようなタブレット型の製品がどんどん売れていくのだろう(かく言う筆者も、娘の小学校入学祝いには、ノートパソコンではなくiPadを贈ろうと心に決めている)。

「地図情報」の進化に、ユビキタスの次が見える

 でも、ちょっと待ってほしい。iPad(もしくは、iPadのようなタブレット機器)が多くの家庭に行き渡るには、少なくとも数年はかかりそうだ。その頃にはiPadも何世代かを超えて、今とは違うものになっているに違いない。そんな中で、目の前のiPadに右往左往することは、本当に最優先すべきことなのだろうか?

 もちろん、立場によっても異なるとは思う。あなたが、アプリケーション開発現場やベンチャー企業の経営者ならば、今そこにあるブームの波に乗ることがすべてかもしれない。しかし、もしあなたが情報・コンテンツに少しでも関わりのあることを生業にしている経営者であるなら「iPadの先にどのような世界が待っているのか?」「10年後の情報・コンテンツビジネスはどう変わるのか?」について、想像することが、今、最も重要な仕事なのではないだろうか。

 筆者の勤める野村総合研究所は、2001年に『ユビキタス・ネットワーク』という本を発行し、「いつでも、どこでも、誰とでもネットワークにつながる社会」が実現すると主張してきた。それから10年が経過して、確かに、どこでもメールやつぶやきで家族や友達とコミュニケーションがとれ、携帯電話でテレビを見ることができ、行きたいところまでの最短コースをナビゲーションしてくれるようになった。

 ユビキタス・ネットワークの先にある10年後の世界を想像することは決して簡単ではないのだが、筆者は「地図情報」にそのヒントがあるのではと考えている。実は、デジタル化された地図情報であるGIS(地図情報システム)は、1970年代に実現した。GIS技術を利用したカーナビとGPS付き携帯電話の普及とともに、自分の居場所と行きたい場所、その経路情報に、いつでもどこでもアクセスできるようになった。65歳になる筆者の父親が、携帯電話片手に、田舎から渋谷の待ち合わせ場所にやって来るのだ。

 そして今、旅行先で食べた食事の感想を、食事の写真とレストランの地図と一緒に公開したり、その写真を見て誰かがコメントをつけたり、たまたま近くにいた人がそのレストランに立ち寄ったりといったことが、誰でも簡単にできる時代が訪れつつある。

「レイヤード」化で誰にでも直観的に分かりやすく

 今、地図情報にて起こりつつある革新のポイントは3つに集約される。

プロが提供する情報(地図データ、位置情報)を利用して、消費者が情報発信できる。
情報が生まれた瞬間に、広く発信され、共有され、蓄積される。そして、情報が欲しいその瞬間に利用することができる。
プロ発の情報や自らの体験などの「オリジナル」を損なうことなく、消費者発の情報を重ねて、分かりやすく、好きなものだけをレイヤー表示することができる。

 旅情報書籍を例にとってみよう。これまでは、観光地の地図、ホテル・観光施設の住所、見どころ、感想などを出版社が取材して、編集して、印刷して、流通に乗せて販売してきた。どの観光地を出版するか、どのような情報を掲載するか、いつ情報を更新するか、こういったことはすべてプロである出版社が決めてきた。それが今やインターネット上に、地図と組み合わされたお薦めサイトや旅行体験記があふれている。あなたは、今いる場所の地図を呼び出し、近くにあるレストランまでの道順や最近訪れた誰かの感想を見ながら、何を食べるか決めることができる。

 精巧な地図情報、採光が調整されたデザイン性優れた店舗画像、笑顔の主人と垂涎の料理とともに綴られるお店の評論など、情報の出し手が明確な「オリジナル」な情報・コンテンツは、今後も限られたプロによってのみ提供されていくことだろう。

 一方で、星取りによる5段階評価、今食べたメニューの写真と食後の感想、駅から店までの通りの活況度合い、ついでに寄ったお店の紹介など、様々な付加情報が、日々利用者によって発信され、蓄積されつつある。ただし、現状では、そういった情報はわざわざ検索したり、口コミサイトを隅々まで読んだりする人々だけが利用しているだけである。

 これからは「オリジナル」の情報・コンテンツの上に重なる形で、誰にでも、直観的に、分かりやすい形で情報がレイヤード化(多層化)されていくこととなる。オリジナルの情報・コンテンツの魅力を損ねることなく。そして、レイヤード化されるオリジナルの情報は、ウェブ上だけの情報に留まらない。リアルな情報、つまり今目の前に広がる景色もレイヤード化される対象となる。そんな「レイヤード」時代が到来を予感させる2つの最先端コンセプトをご紹介したい。

「Layered Reading」は電子書籍への1つの回答

 米アマゾンの電子書籍端末「Kindle(キンドル)」やiPadに触発され、電子新聞・電子書籍に向けて各社が舵を切る中、「電子化されて何が嬉しいの?」「電子新聞・電子書籍ならではの付加価値は?」という声も少なくない。そういった声に対する1つの回答が、Project LRが提唱する「Layered Reading(レイヤード・リーディング)」である。ちなみに、これは実は、日本発である。

出所:ハチヨン dialogウェブサイト

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