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またぞろ「経営トップの“下半身”問題」

米HPのCEO失脚劇から考える「上半身との境目」

2010年8月10日(火)

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 「トップを辞めてしまったのだから、もはや我々の取材相手ではない。下半身の問題になったら週刊誌に任せればよい」。

 20年以上前、駈け出しの記者であった頃、先輩記者からこう言われた。当時、日本を代表する大手企業で情報通信事業を担当していた部門のトップが突然辞任し、業界でちょっとした話題になっていた。「辞任した理由を調べて書いたらどうでしょうか」と進言したところ、冒頭のように命じられた。

 そのトップは親分肌で有能な人物とされ、情報通信事業部門が分社する際には、社長になると目されていた。ただ、「昵懇(じっこん)の女将がいる飲食店に部下を大勢引き連れていく」「ベンチャー企業経営者達と交流するのはよいが、株を分けてもらっている」といった話も聞こえていた。

力は十二分だが、叩くと少々ほこりが出る経営者

 先輩記者の指摘を補足すると次のようになる。経営トップがどのような経営戦略を考え、どう組織を率いていくかは、“上半身”に関する事柄だから取材すべきである。しかし、トップがいったん辞任してしまえば、次の仕事を始めるまでは一個人であり、取材する相手ではない。まして、女性やカネに関わる“下半身”の話は我々が報道することではない。

 「我々」とは、筆者が在籍していた日経コンピュータ編集部を指す。情報システムの利活用について報道する専門誌であり、下半身の話題について書く欄は当時も今も無い。

 「下半身の話は週刊誌」と言っても、週刊誌を見下しているわけではない。下半身とは個人、上半身とはいわゆる公人を意味する。もちろん、同じ1人の人物だから本来不可分だが、できる限り分けて考えなければならない。

 経営手腕があり、しかも清廉潔白な経営トップがいれば素晴らしいことだが、なかなかそうはいかない。斬新な戦略を立案して遂行する力は十二分だが、叩くと少々ほこりが出る経営者と、身綺麗で家庭円満だが何も決められない経営者がいたとしたら、上半身を比較し、前者に軍配を上げ、後者に無能の烙印を押すことになる。

 経営トップになる直前の人物として上記の2人がいたとする。前者の身辺は下半身の話だから報道する必要はないが、後者の経営手腕は上半身の話なので本当に問題があるなら報じるべきである。念のため補足すると、「業績さえ上げれば私生活で何をしてもかまわない」と主張しているのではない。

女性問題を起こしても辞めない経営者はいる

 20年以上も前に先輩から言われたことを思い出したのは、世界最大のIT(情報技術)企業である米ヒューレット・パッカード(HP)のマーク・ハード社長兼CEO(最高経営責任者)が8月6日付で辞任したニュースに接したからだ。積極的な企業買収を進めてきたハード氏は、HPを売上高で米IBMを超える企業にした立役者であった。

 8月7日、電子メールを確認していたところ、ある記者が「ハードCEOがセクハラ疑惑で辞めた」とメールを送ってきた。そのメールを読んで疑問に思ったのは、いささか不謹慎だが、「女性問題を起こした経営者が米IT企業に何人かいるが、それが原因で辞めてはいない。ハード氏の場合、何がまずかったのだろう」ということであった。

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「またぞろ「経営トップの“下半身”問題」」の著者

谷島 宣之

谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所

一貫してビジネスとテクノロジーの関わりについて執筆。1985年から日経コンピュータ記者、2009年1月から編集長。2013年から現職。プロジェクトマネジメント学会員、ドラッカー学会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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