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誰も知らない「本当のはやぶさの奇跡」

もし火薬がダメだったら、カプセルは粉々になっていた

  • 佐藤 紀泰

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2010年8月31日(火)

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 逆境でも不屈の闘志で復活の技術を生み出す「敗れざる者たち」として、まずは今年夏、国内外で注目された小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトに貢献したIHIグループのIHIエアロスペースの技術者を紹介したい。

 はやぶさは、地球から3億キロも離れた小惑星イトカワから、満身創痍になりながら、戻ってきた。このプロジェクトの総責任者だった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川口淳一郎教授らの執念と知恵で、日本に感動を与える奇跡を演じてみせた。そこでは、IHIエアロスペースの技術者たちの活躍も大きい。

 まずは、はやぶさのカプセルの耐熱素材などを担当したIHIエアロスペースの宇宙機システム室の森田真弥部長に聞いた。森田氏ははやぶさのカプセルが豪州南部の砂漠に落ちた時に、自らその回収を担当している。

(聞き手は佐藤紀泰=日経ビジネス編集委員)

 ―― 今年6月13日、森田さんは、豪州南部の砂漠に、はやぶさのカプセルの回収に行かれましたね。

画像のクリックで拡大表示

 森田 ええ、私がカプセルの外側の耐熱部分(ヒートシールド)の開発を担当したものですから。中には火薬が残っているかもしれないし、危険もあったからです。

 それにしても、カプセルの回収ができて本当に良かった。実は米航空宇宙局(NASA)の関係者も豪州には撮影のために来ていました。失敗すると思っていました。失敗の映像を撮影しようとしていたのです。NASAだけでなく、多くの専門家がカプセルの回収は難しいというように見ていました。

 ―― それはなぜでしょうか。

 なぜならば、カプセルの中にあった火薬の問題なのです。はやぶさのカプセルは大気圏内にものすごいスピードで再突入します。地上から高度10キロメートルぐらいになると、加速度計でその位置を知り、火薬が爆発します。その結果、パラシュートが開く仕組みです。ですが、その火薬が劣化していたら、パラシュートが開かないのです。はやぶさは、7年という長い宇宙飛行でした。

 私が豪州の砂漠でパラシュートを開いた後、カプセル本体からの電波がキャッチされました。その時は感動しましたね。宇宙空間は極低温です。零下200度ぐらいになっていたでしょう。火薬は零下20度ぐらいで劣化します。

メンバーの執念が奇跡を呼び起こした

 さらに、宇宙では「宇宙ごみ」というのか、素粒子が飛んでくる。放射線もあります。それが火薬を劣化させてしまう。そうならなかったのは非常に運が良かったと言えるかもしれません。ただ、JAXAの川口先生たちメンバーの執念がすごかったし、それがこの奇跡を呼び起こしたのではないでしょうか。火薬がダメならば、カプセルは地表に激突して粉々になっているのですから。

 ―― 森田さんはなぜ、はやぶさに関わることになったのですか。

 私はもともと、1983年に入社しました。それで宇宙部門に配属されました。ロケットの噴射ノズル、エンジンから炎が出てくる部分ですが、その耐熱材料を長く担当しました。それがCFRP(炭素繊維強化プラスチック)だったのです。このCFRPがはやぶさのカプセルの耐熱用のヒートシールド(外殻)の材料になっているのです。1997年からカプセルの耐熱材料を担当しました。

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